2013年、NHKの大河ドラマ「八重の桜」初回は視聴率も20%を超え、
内容の評判も良く、上々のスタートを切ったようです。
私も見ましたが・・良く言えば、無難、辛く言えば・・つまらなかった。
まず、今年の大河は、福島の方々に「エールを送る」という大前提が制作サイドにあります。
もう一つの大前提は、「平清盛」の失敗を繰り返せないこと・・イコール、冒険はできません。
綾瀬はるかさんは、たぶん今一番「旬」な、素敵な女優さんですし、
NHKとして、番宣もガンガンやっていましたから、期待しすぎたのかも・・。
会津の美しい景色や、堅実で健気な人々の暮らしとつながり・・観光客は増えるでしょうね。
それはいいことですが、ドラマは葛藤と対立であり、旅番組ではありません。
同時代を描いた「龍馬伝」は初回から、下級武士に対する過酷な差別をとりあげていました。
今年の大河は、時代劇も手がけている才能のある脚本家が担当され、
話の運びやセリフに安定感は感じましたが新鮮さがイマイチ・・換言すると、手堅すぎ。
大河ドラマの歴史は、ある意味、毎年「挑戦する番組作り」であるはずです。
「篤姫」「天地人」「江」など、あからさまに大衆受けを狙った作品もありましたが、
私の頭にはまだ、「武田信玄」(脚本・田向正健)の素晴らしさがこびりついていますし、
近年では、「風林火山」も上出来。大森寿美男の脚本は良い意味で抽象的で楽しめたし、キャスティングも
新鮮でした。あの高いレベルで、平均17~18%の視聴率をとっていたのは立派!
だから、どうしても比較してしまう・・
冒頭の南北戦争のシーンは要らない・・そんな所にお金をかけるなら、キャスティングにお金をかけて下さい。
追鳥狩の場面も長すぎて、私は退屈でした・・(会津の伝統行事/軍事教練の紹介)
松平容保(カタヨリって、読むんですよ)と幼い八重の出会いのシーンなら、狩りがなくても作れる・・
ああいう出会いと人物関係の紹介は大河のパターンですね・・
(西田敏行演じる西郷頼母は、あの時、25歳ぐらいのはずですが・・)
なぜ大河の初回はいつも子役が登場するのか・・。
私は子役の演技に興味がないので、毎年、初回は見るのが一寸つらい・・
黒船の来航で、「開国をするか否か・・」の会議は至極あっさりと描かれ・・
なぜかお国入りしていたはずの松平容保が江戸城にもどっていて、とつぜん開国を進言する・・
攘夷強硬派の水戸と会津の微妙な関係にも触れず・・
時代はすでに激動していたはずなのに、今の平和ボケ日本と同じで、全体的に安穏、のんびりモード。
スリリングな緊迫感が感じられず・・(「朝ドラ」じゃないんです)。
「金曜時代劇」でもないんです。
「大河ドラマ」は時代に翻弄されつつも、新たな時代を切り拓こうと、もがき闘う人間を描く、と考えます。
ですから、「時代」を描かないと・・。その時代の空気を感じさせてくれないと・・。
(空気を感じさせてくれたのは、西田敏行と奥田瑛二ぐらい・・さすが、掴んでいる)
どうも女性脚本家が書くと、歴史的な面白さがワキにやられ、ホームドラマっぽくなる傾向を
感じるので、途中で見るのをやめてしまうのですが・・。
この数年、味わいのある役者さんたちが次々と他界され、俳優の層が薄くなってきているのもツラい。
主要な役の男優さんたちも、スリムで、ソフトで、さわやかで・・屹立するような、強い個性がない。
でも、まだ初回ですから、一年がかりのドラマのほんのさわりで、ヒロインの綾瀬さんもまだ
キャッチだけで、登場していませんので、今後の展開に期待します!
蛇足ですが、「ならぬことはならぬ」の決めゼリフ、使いすぎです。多くても二度まででしょう。
草笛光子のナレーション、古くさい・・
(m)
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- 2013/01/08(火) 21:51:08|
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今週発売の「週刊文春」が、「フジテレビ『失敗の本質』を衝く」というタイトルで、
視聴率が日本テレビ、テレビ朝日に抜かれ、第三位に転落した理由を書いています。
日枝久会長(74)の長期政権による、組織や企画のマンネリ化や、長らく視聴率トップの座にいたため
番組作りが守勢になり、自由や斬新さが徐々に失われていることなど・・。
3.11大震災以降の視聴者意識の変化も理由のひとつ。
日テレ&フジは、軽チャーの代名詞ともいえる局。
フジといえば、「チャラチャラ感」・・軽佻浮薄のイメージが強い。
3・11を境にして、社会の空気が変わってしまい、
震災報道となれば、多くの人々がNHKにチャンネルを回したのはうなずけます。
今年6月の人事で常務取締役に昇格した大多亮氏(53)によれば、
「F1(20~34歳の女性)とかティーン層はまだうちが強いのですが、
視聴率調査のボリュームゾーンである50代以上には、うちの番組は魅力がない」
しかし、今後も若い層を中心に番組作りをするとのこと。
文春の記事には書かれていませんが、フジが視聴率を下げた原因は、新聞の番組欄にもあると思うのです。
各社、TV番組欄の構成は多少ちがいますが、例えば、朝日新聞の場合、
私は、在宅していれば、かならずニュースを見るので、
まず左端のNHKの欄を見て、それから右へ、民放へと視線を移していきます。
ーーーアレ、どこへ行っちゃったの?フジテレビ・・
TVのデジタル化に伴い、BSを除けば、いちば~ん右端の隅っこに押いやられてしまった?フジテレビ・・
そこはかつて、さびしい12CH、テレビ東京の指定席でした(縁起わる~い)。
今は7CHとなり、フジの左側に移動。
で、けっこう真ん中にドカンと目だっているのが、躍進めざましい5chテレ朝なのです。
テレ朝は、サッカーやフィギュアスケートなど、人気スポーツを取り込み、
毎晩9時54分、大衆迎合と揶揄されつつも、安定した人気の「報道ステーション」があります。
ときどき(とくに秋)、本格的な単発ドラマも見せてくれるし、
あとは人気の「相棒」をはじめ、得意のサスペンスドラマが並びます。
サスペンスドラマは、それなりに今の社会を写し出すし、
いわば、「おとなも見られるTV局」のイメージ。
(「ドクターX」は二番煎じ。米倉涼子は主役として意外性が無いけれど、今、スーパーウーマンドラマは
数字とりそう・・)
テレ朝がエライな~と思うのは、あきらめないところです、
「相棒」だって、最初は視聴率あまり良くなかったけれど、「これはイケる」と信じて粘った成果。
「科捜研の女」も地味だし、「土曜ワイド劇場」だって、まだ続いているのです・・
そして、これらの番組には、これまたしぶとい中高年の視聴者がくっついている・・
ストーリーがパターン?そんなこと、どうでもいいの、時間つぶしているだけですから・・
しょせん、民放は「儲かればいいんです!」ということで・・
NHKの夜ドラは、少し前から対象を40代女性に向けてきたようですね。
「セカンドバージン」がヒット、
「眠れる森の熟女」も、この世代の会話にリアル感があって、
主役に元バレリーナの草刈民代さんというのも意外性があり、
若いころに、トレンディードラマを見ていた世代が、シビアな日常に向き合い、共感できるという点で、
NHKの狙いは当たっているのでは・・。
(大河など、時代劇はコケつづけていますが・・)
でもフジテレビ、実は私、よく見ています。
夜8時、BSの「プライム・ニュース」・・この時間帯、他に見たい番組がないので、ながら見・・
月~木の八木亜希子キャスターと金曜の島田彩夏キャスター。
番組の進行も上手く、ゲストには、なかなかシビアな問いかけ。
フジの女子アナ、見そこなっちゃいけません。◎のお二人です。
ただし、この番組、60代以降の視聴者に人気とのこと。
え~!!
(m)
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- 2012/10/27(土) 18:34:35|
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2012年9月9日。今夜放送されたNHKスペシャル
「追跡!復興予算19兆円」~どう使われたのか?増税による巨額マネー~各省庁から請求され、認められた使いみちにびっくり!!
被災地に使われるはずの国民のお金が、たとえば、
・国立競技場の改修費
・岐阜県にあるコンタクトレンズメーカーの製造ラインへの補助金
・公安調査庁のテロ対策費
・調査捕鯨の安全を守るための反捕鯨団体対策費
・沖縄の国道工事
・北海道の刑務所の受刑者訓練費
・外国の青少年を招く交流事業(メインは京都などの観光で被災地には2日間のみ)
等等に充てられ、かなりの予算が、被災地ではない地域に流れているという事実!
いずれも、よくもまあ!・・へりくつとしか思えない被災地や震災との関連付けがされています。
まさに、「復興予算」という名の蜜にむらがるアリの様相・・
活力ある日本全体の再生が、被災地の復興につながるという論理。
被災地に復興費用がまわって来ない現実・・
大槌町では、商店街の再生のためにと申請した「グループ補助金」が認定されず、
気仙沼では、公立病院の計画はあるが、いま現在必要な医師や医療施設が確保できず・・
一方、石巻市では、地元建設業者によるガレキ処理費用の水増し請求・・
「復興」という名目で、官僚が跋扈し、
議員は自分の地元から陳情を受けるだけの口利き屋。選挙のため。
どの党であれ、そんな議員は要らない。
自民党時代から、続いてきた構図なのでしょうが、
民主党は何も変えることができなかったし(その能力もなかった)、
「事業仕分け」なんて、まさに茶番でしたね。
消費税増税も、結局は公共事業に流れると報道されています。

こんなことで、いいの!?日本・・
(m)
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- 2012/09/10(月) 00:10:27|
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毎年、NHKの大河ドラマは初回を見て、一年通して見るかどうか決めています。
ところが今年、「平清盛」の初回を見逃し、第5話ぐらいまで録画し、一気に見たのですが、
すでに、「画面が白くて見づらい」「松山ケンイチがわーわー、バタバタやっているだけ」など、
評判は芳しくなく、視聴率もじりじりと下がり続け、遂に歴代大河のワースト視聴率を達成。
こうなると、一話に6千万円も投じているそうなので、なぜそんなに不評なのかを探りたくなり、
29話まですべて視聴。つまり、NHKにとっては嬉しい視聴者の私。・・が、
前回、成海瑠璃子のクセ毛騒動やら、後白河上皇と手を取り合っての婚礼があまりにマンガ的で、
せっかく、平治の乱で少し持ち直したかのように見えたのに・・
気がついてみると、すでに撮影は終盤に入りつつあり、
今からでは面白くしようにも手遅れなので、記事のタイトルを過去形にしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「面白くならなかった理由」
★
チグハグ 出来としては昨年の「江」(見ていません)よりはマシだそう。
高尚なドラマを狙っているようだが、時代劇に不慣れなトレンディー系を視聴率対策として多く起用。
タイトルバックからしてチグハグ。弓を射る勇壮な清盛の実写とアニメ的なCG..笹の枝で遊ぶ子供?
音楽もチグハグ。
★
平清盛を主役として描いていない 松山ケンイチは、彼に適した役を演じれば魅力的な俳優だと思うが、清盛役はミスキャスト。
清盛の野心や英知、苦悩や狂気など、裏腹な表現ができず、演技が単調。
眼が柔和で、いい人すぎ。子供っぽく、歳もとらない(清盛が変貌していく様子がない)
しかし、それでも、制作サイドは彼を主役(軸)としてストーリーを展開すべきだった。
ドラマ開始早々から、清盛は常にワキのポジション。
実質的な主役は週がわり。父の忠盛(中井貴一)、鳥羽上皇(三上博史)、西行(藤木直人)、
弟の家盛、藤原頼長(山本耕史)、信西(安部サダヲ)・・
このところ源義朝(玉木宏)が入魂の演技で主役のポジションだったが、自害してしまった。
つまり、大河なのに単発の作りで、視聴者はだれに気持ちを寄せて見ればいいのか・・。
(本来なら、清盛のはず・・)
しかも、
単発の作りのため、ストーリーにうねりが生まれず、次回へのワクワク感がない。
この制作チームは、武士サイドよりも、平安貴族の権力闘争や摩訶不思議な慣習に興味があるようで、
貴族側に上手い役者を起用、演出も凝っているが、
頻繁に登場する和歌や舞いで、ドラマのテンポが落ち、視聴者の集中力がとぎれる。
脚本が骨太でない。人物ひとりひとりや細部を描こうとしすぎて散漫になっている。
貴族、皇族のセリフが上手いが、武士のセリフは単調。時に、教科書的。
セリフをしっかり聞いていても、なぜ、そうなったのか、話のスジが不明なことが多い。
「平清盛」に対しての歴史的な(教科書的な)イメージを打破するのが狙いならば、もっと
圧倒的に魅力的なヒールにすれば面白くなったのでは?
(松山ケンイチでは難しい・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ドラマでよく耳にする、「新しい世をつくる」「武士の世をつくる」の目標には程遠い人物像であり、
描き方であり、貨幣を流通させ、貿易を発展させたとはいえ、清盛はやはり、
貴族社会の末裔のイメージ濃厚。
演技派はすでにほとんど消え去り、
清盛の弟たちや息子たちが希薄な存在なので、今後は義経や弁慶だのみになるのでしょうか?
せめて有終の美を飾っていただきたい・・一視聴者の願いとして。
(それにしても草食系の昨今、若武者のセンも細く、軽いですね・・)
ちなみに、最近の大河イチオシは「風林火山」(Pは若泉久朗。「クライマーズ・ハイ」)。
★「平清盛」ベスト・アクター(意外性・新境地)は三上博史(鳥羽上皇)・山本耕史(藤原頼長)
松田翔太(後白河上皇)。宮中に軍配あり。
(m)
テーマ:大河ドラマ 平清盛 - ジャンル:テレビ・ラジオ
- 2012/07/26(木) 16:44:11|
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11月23日21時~NHK・BSプレミアムで放送された
「邦画を彩った女優たち 第3夜 太地喜和子」を観ました。
「情念の女優」という言葉がやはり似つかわしい・・
映画というより、舞台女優というイメージが強いのですが、
映画にも、TVドラマにも、数多く出演されていますね。

番組の中で、自筆の手紙が紹介されていました。
(松雪泰子さんの朗読、良かったです)
命がけの恋愛をするたびに、心が燃え尽きてしまうのか、
「私の許に帰って来る男は、ただの一人の男になった・・」
「この世界は窮屈で、私には合わない」
と、女優にもどり、恋愛を仕事に昇華させていった彼女・・。
女の業を、演技というよりは、天からさずかった感性で、体現していた女優。
まさに、天職。
その全盛期の舞台を、国外にいたために見られませんでしたが、
突然の死には本当に驚きました。
あの夜、「唐人お吉」の芝居を伊東で終えた後、数人で飲酒、
車ごと伊東の海に転落して溺死。享年48歳。
翌日は、お吉の出身地である下田での公演が予定されていました。
その一寸前、私はたまたま下田を訪ね、「唐人お吉」に関心を持って調べていたので、
吉と太地に、いくつもの共通点があることに、因縁めいたものさえ感じました。
まず、下田で、残されている吉の肖像写真を見たとき、
その雰囲気が、あまりにも太地喜和子に似ていたこと・・
吉は大雨の夜、下田を流れる川に入水自殺しました。
ハリスの妾となったために、人々から蔑まれて生きた吉の晩年は本当に悲惨で、
酒におぼれ、身体の自由がきかず歩行に支障をきたし、最後には乞食の群れに
加わって・・
(しかし、実際に「妾」となったかどうかは疑問。3日ほどでヒマを出されています)
それでも、吉は自分を罵倒して石を投げてくる子供たちに、うなるように
立ち向かっていった、との記録が残っています。
太地喜和子は緑内障を患い、このころ、あと2、3年で失明するかもしれない、と
宣告されていたそうです。
番組も、太地と吉の共通点に触れ、二人はともに48歳で死去したと述べていましたが、
これは違います。吉は50~51歳だったはず。
残念なことに、太地喜和子が演じた吉を見ていないのですが、
番組中、親しい友人でもあった作家によれば、
虚実の境を越えてしまい、まるで吉が乗り移ったような、
吉、その人であるかのような、凄惨な、見ていても辛くなるような舞台だったそうです。
「昭和」が匂いたつ、珠玉の女優でした・・

太地喜和子を一躍有名にした「藪の中の黒猫」

こんな子供の頃の写真も・・
(m)
テーマ:TV番組 - ジャンル:テレビ・ラジオ
- 2011/11/25(金) 01:43:18|
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