TBS「情熱大陸」を見た。
神戸に大震災が発生した月命日である17日に放送したのは、
意図的なのか?無頓着なのか?
予想したとおり、感動話に仕立て上げられていた。
世界の希少動物を保護するとか、ジブチの枯死した森の
再生とか、桜の木を植樹して喜ばれたとか、
そういうエピソートで、アスナロの伐採と運搬の間をつなぐ。
環境や希少植物保護への、西畠氏の関心が高いなら、
それは経営する会社のHPや、インタビューでも
自然と現出するのではないだろうか。
しかし、HPを見ても、インタビュー記事を読んでも、
それを窺わすような文章も発言も見当たらない。
一見して目につくのは、どこそこのイベントでの
派手な展示や、有名人の庭を作ったというような話だ。
明らかにTV局が批判をかわすためにとってつけた
ナレーションだと思う。
美談仕立てのナレーションでごまかそうとしても、
映像は人の目をあざむけない。
なじんだ森から伐り出され、ガードレールまで外して、
ゆかりもない神戸の港へと運ばれて行くアスナロ。
運搬する人たちの技術には脱帽する。
しかし、自然から切り離され、お祭り騒ぎのような
イベントに駆り出されていく木の映像はむなしく、哀しい。
すべてが、プラントハンターの欲望のために為されたのだ。
番組では、「震災」も「鎮魂」も語られることはなかった。
「ギネス登録」の一件にも触れなかった。
港に立てられたアスナロはカラフルに
ライトアップされていたが、美しいとは思えなかった。
まさに、犬死。
それにしても、
今回のプロジェクトをサポートしていた糸井重里氏が
一流のコピーライターであるなら、
糸井氏が気になるのは、
西畠氏自身が作った、このコピーではないだろうか。
「輝け、いのちの樹」
イベントの偽善性を集約する一言である。
(m)
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- 2017/12/18(月) 16:15:25|
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物議を醸している神戸の「世界一のクリスマスツリー」、
17日・日曜夜、TBS「情熱大陸」で一部始終の
密着取材が放送されます。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2017/12_17.shtml要するに、初めからTV局、スポンサー絡みのイベント
だったわけですが、
今回の騒動を通して「プラントハンター」なる職業が
あることを知り、興味を覚えました。
田中康夫氏が記されているように、
まず連想したのは、「トロフィーハンティング」ですが、
「世界一のクリスマスツリーproject」に反対する
人々の中に、以下のような意見がありました。
「何だか、犬や猫の生体販売と同じ臭いがする」
私が感じたのは、
「エキゾチックアニマルの売買と同じ感触がする」
いわゆる、珍しいもの、他人が持っていないもの、
変わったものを手に入れたい、という感覚です。
プラントハンターという職業はイギリスやオランダなど
ヨーロッパの国々で17世紀頃から知られていたようです。
薬や香辛料、園芸用の珍しい植物を世界中から集めて
来る仕事。
お茶をはじめ、コショウやシナモン、セージといった
今日わたしたちが日常的に使う植物も
プラントハンターにより発見され
世間に広まったのです。
かのシーボルトも、日本滞在時には日本固有の
植物を採集していました。
また、ヨーロッパ諸国による、アジアやアフリカの
植民地化にも、各地の貴重な植物をめぐる争奪戦が
あったはずです。
現在もなお、医薬となる植物などの採集をめぐって
争奪戦が繰り広げられています。
「世界一のクリスマスツリーproject」を主催する
西畠清順氏は老舗の植物問屋の後継者。
彼のプラントハンティングには「派手さ」と「アピール」が
つきまとう印象です。
世界中からエキゾチックな奇木や樹齢のある古木
を探す行動は、冒険家のようでもあり、
人々の注目を集めます。
しかし、「木を見て、森を見ず」という言葉があるように、
西畠氏のハントは、「そこにある自然の中から」
例えば、一本の木だけを切り離して、異環境に持ち込み、
珍しいものを求める人に売って喜ばす、あるいは、
イベントで目立たせることを目的としているようにみえます。
もともと植物を売ることが生業ですから、
当然の行為なのでしょうが、違和感を覚えます。
樹齢500年のオリーブも氷見市のアスナロも、
彼の地の自然と一体であるからこそ存在の意味も
あるように思えるのです。
これらの樹木を人間が利用すべきではない、
ということではなく、
単に「珍しいもの」を探すことが目的であるように
感じてしまうのです。
私の祖父は牧野富太郎氏を師と仰ぐ園芸家でした。
大正から昭和にかけて、
「実際園芸」という日本初の一般人向け園芸雑誌を
編集・発行し、海外の園芸品種を日本に紹介するかたわら、
日本固有の植物の研究にも取り組み、
園芸百科事典を執筆しました。
それは地味で地道な仕事でしたが、その根幹には、
園芸を広め、人々に植物を育てて楽しんでもらいたい
という願いがあったと思います。
「自然は神の賜物、花は自然の賜物」
牧野先生より一足先に他界した祖父の墓石に
牧野先生が刻んだ言葉です。
もしいま祖父が生きていたなら、
プラントハンターなる仕事をどのように考えるか
ちょっと訊いてみたいものです。
(m)
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- 2017/12/16(土) 23:20:41|
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神戸市とプラントハンター・西畠清順氏が打ち上げた
「めざせ!世界一のクリスマスツリーProject」が批判を浴びている。
糸井重里氏の「ほぼ日」もProjectに賛同の立場だ。
批判に対する、糸井重里氏のTwitter。
「 冷笑的な人たちは、たのしそうな人や、元気な人、
希望を持っている人を見ると、
じぶんの低さのところまで引きずり降ろそうとする。
じぶんは、そこまでのぼる方法を持ってないからね。」
さらに炎上を煽るコメントだ。
人々は、冷笑ではなく、憤怒しているのである。
糸井氏は、「かえって、PRになって良かったじゃない」
と宣っているかもしれない。いや、そうだろう。
「ほぼ日手帳」のセール期でもあり、
「TOBICHI」もイベントに出店。
「言いたい奴らには言わせとけばいいのよ」
と、たぶん、批判など、どこ吹く風なのだろう。
やはり、コピーライターである。
「楽しければ」「面白ければ」、加えて、「儲かれば」それで良い。
本質的には「自然」への敬いを持ち合わせない人だった。
プロジェクトを主催するプラントハンターなる肩書を名乗る
西畠氏は自身のFBで、以下のように書いた。
「もし、あの木をみて「かわいそう 」と思ったなら、
どうか、どうか その植物に対するやさしさだけは、
忘れずにいてください 。
そしてその気持ちをもったまま
ぜひこれからの人生を歩んでもらいたいと思います」
傲慢な言いぶりである。
人々は「神木」であるとかないとか、
そういうことに怒っているわけではない。
もともとこのプロジェクトが、「めざせ!世界一」のタイトルのように、
世界一飾りの多い生木であるとか、ギネス記録への挑戦とか、
その裏側に透けて見える商魂などが、
多くの人々のアンテナに触れたのである。
要するに、単なる大仕掛けのパフォーマンスじゃないか、と…。
日本のクリスマスはそもそも、ビジネス。
プロジェクトは、神戸の震災犠牲者の鎮魂、などと銘打っているが、
誰が生きている木を,
目立ちたがりの、ひと月だけの世界一イベントのために
伐って「鎮魂」を感じられるのだろうか。
150年という時間を生き続けてきた、あの古木が
建材や日用品になるなら、それはそれで構わない。
だが、ツリーに使った後は、腕輪にするなど、ひたすらお遊び志向だ。が、
フェリシモが辞退したので、慌てて鳥居にするなどと述べている。
井上靖の「あすなろ物語」を子供の頃に読んだ。
アスナロの木は、「いつかヒノキになろうと夢を見ながら」
プラントハンターによって命を絶たれ、神戸港に晒された。
この安易で田舎人めいたプロジェクトについてはすでに
多くの記事がアップされているので参照されたい。
イベントの中止を求める署名は一週間と数日で2万人に迫る
勢いで増え続けている…。
署名: ★世界一のクリスマスツリーPROJECTを中止して下さい https://www.change.org/p/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%84%E3%83%AA%E3%83%BCproject%E3%82%92%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84関連記事:★神戸市「世界一のクリスマスツリー」で損なわれた「ほぼ日」のブランド価値 http://scotchhayama.hatenablog.com/entry/2017/11/21/221455★批判浴びる世界一のクリスマスツリー企画
文章提示もさらなる炎上にhttp://news.livedoor.com/article/detail/13967576/(m)
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- 2017/12/02(土) 22:29:15|
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生誕100年を記念して全国を巡回している
ターシャ・テユーダー展が札幌市で開催されています。
月刊MOE
http://www.moe-web.jp/event/tasha.html以下、転載。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ターシャが長年愛用していた家具や食器、キッチン家具、
ドレス、ガーデニンググッズ等が展示されるほか、
驚くほど精巧につくり込まれたドールハウス、
2014年夏に日本で出版された『まぶしい庭へ』の原画など、
日本初公開のアイテムや作品も充実しています。
生誕100年 ターシャ・テューダー展2016年6月8日(水)~6月22日(水)
丸井今井 札幌本店 大通館9階催事場(北海道)
http://www.marui-imai.jp/sapporo/s_a9_saiji/20160608_1.html/
〒060-0061 北海道札幌市中央区南1条西2丁目11
http://www.marui-imai.jp/sapporo/s_access/s_access.html/
TEL. 011-205-1151 (代表)
10:00~19:00(入場は閉場の30分前まで、最終日は17時終了)
入場料 一般・大学生900円、中高生700円、小学生以下無料
主催/NHK サービスセンター 後援/NHK札幌放送局、北海道新聞社
特別協力/ターシャ・テューダー ファミリー
協力/ターシャ・テューダー ミニミュージアム/テレコムスタッフ/
日本航空/神戸女子短期大学
企画制作/東映株式会社
★今後の巡回予定2016年8月10日(水)~8月21日(日)
小田急百貨店 町田店(東京都)
http://www.odakyu-dept.co.jp/machida/
2016年9月7日(水)~9月19日(月・祝)
天満屋 岡山店(岡山県)
http://www.tenmaya.co.jp/okayama/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・昨年、東京で見逃した方も8月に町田で
開催されます。
この機会にお見逃しなく!
(m)
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- 2016/06/08(水) 18:23:38|
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【展示内容】
園芸家 石井勇義(いしいゆうぎ/1892-1953)は、雑誌『実際園芸』(1926年創刊)や『原色園芸植物図譜』(1930-34年)を通じて園芸愛好者に親しまれ、かつ園芸知識の普及に貢献した人物です。石井の企画で画工の山田壽雄(やまだとしお/1882-1941)がツバキ・サザンカを描きましたが、それらの図は石井の生前には出版されず、遺族によって平成元年(1989)国立国会図書館に寄贈されました。図を収めた帙(書物を包む覆い)には、石井と親交の厚かった牧野富太郎(まきのとみたろう/1862-1957)による「日本産ツバキの図」という表題が貼られてあります(左図)。また、植物学者津山尚(つやまたかし/1910-2000)が編纂して『石井勇義 ツバキ・サザンカ図譜』(1979年)が刊行されました。
『原色園芸植物図譜』再版(1954年)の序文で、富太郎は「君を憶う」と題して、「在りたりし過去を想えば君はしも、亡き跡淋びし今日の我が身は 鹿児島へ行きし事など想い出で、淋びし、懐し、悲しみの痕 叡山に行いて宿りし過去恋いし」と詠み石井を偲んでいます。
本企画展では、ツバキ・サザンカの図63枚を前期・後期に分けて展示します。園芸植物にかけた石井の情熱もさることながら、富太郎の指導により一流の腕を持つにいたった山田の、一筆一筆精魂込めて描いた傑作をご覧ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身内のことで恐縮ですが、石井勇義は私の祖父です。
ネットから消える前に、こちらに転載いたしました。
(m)
テーマ:絵画・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2015/03/05(木) 22:48:53|
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