飼い猫やノラ猫をとりまく東京の状況は、この10年間で隔世の感があります。
飼い猫の室内飼育は約8割まで増え、不妊去勢も普及、地域猫活動も広がり、ボランティアの数も、団体も急増。
東京都動物愛護センターも、悩みの種であった乳飲み子の救命に向けて動いています。
昔は馴れていないノラの子猫をつかまえるのが大変でしたが、捕獲器の進歩で保護しやすくなりました。
猫の現場活動に関して、私は昔も今も、仕事の合間に、基本ひとり(+ご近所ネコ友さんたちの協力)で、
近所の保護やTNRをしていますが、これは自分のペースで動け、キャパを守るためです。
現在はネットワークで活動している方々も多く、それだけ保護される幸運なノラ猫の数も増えて、
週末ともなれば、都内いたる所で譲渡会が開かれています。
室内飼育や不妊去勢が増えた理由のひとつは、ボランティアが譲渡条件としているからでしょう。
先日、区内の、ある譲渡会を訪ねてみました。保護された子猫が多数、福島で保護された子猫たちもいました。
健康診断も済み、きちんと管理されている子猫たちなので、すぐにもらわれるだろうと思いきや、
最近は子猫でも、なかなか時間がかかるとのこと・・。
譲渡条件がきびしいとはいえ、読んでみると、まあ当たり前のことです。
季節的に子猫が多く、福島猫も加わって、もらい手市場になっているのかもしれませんが、
大きな理由のひとつは里親希望者がネットで各地の譲渡会を検索し、あちこち回っては、
品定めをしているからではないでしょうか?
一番かわいい盛り。里親と過ごせないのはもったいないなあ・・。
2005年の時点で、区内には猫のボランティア団体も、譲渡会もほとんどありませんでした。
私は「サンケイリビング」という毎週ポストに投函される無料のコミュニティー誌に安価で里親探しの広告を載せ、
発刊されると同時に、杉並区を含む近隣3区市から問い合わせの電話が頻繁にかかってきて、
飼育室で心ゆくまでウオッチ&遊んでいただき、半年ぐらいまでの健康な子猫はあっという間に譲渡できました。
母の友人である舞踊家の長嶺ヤスコさんが保護した30匹の子猫も、我が家の飼育室で約一月いる内に、
またたくまに貰われていきました。里親さんたちは、10年経ても、年賀状などで様子を知らせてくれています。
(譲渡後も、近況を知らせてくれるという条件を大切にしています)
譲渡会の問題点のひとつは、ケージの中にいて(しかも寝ていたり、動かずで・・)、猫の行動が観察できず、
その猫の性格や気質が分からないことです。(そこでトライアルがあるわけですが・・)
複数の譲渡会に出せば、移送が増え、子猫の負担にもなります。
動物福祉のキーワードは「地域」であると考えます。
知り合いや近くの人に譲渡すれば、たやすく近況を聞けたりして安心感があります。
譲渡会やネットでの里親探しは、多頭保護の場合、便利だし、必要かもしれませんが、里親詐欺も懸念され、
やはり地域を軸として、住民に協力をあおぐネットワーク作りが大切だと思います。いろいろな意味で。
(地域の人間関係も豊かになります)
こまめにポスターを作って貼ってもらうなど、昔ながらの手法も大切。
ネコに関する相談を受けていると、ネコが半分、人間(ノラ猫に無責任にエサをやる人&
ボランティアの言動)に関する相談が半分です。
今回の動物愛護管理法改正では、ボランティア団体を登録制にすることが検討されています。
格安の手術や薬の提供を受けながら、里親希望者に高額の費用を求める団体もあるそうなので、
里親希望者は必ず病院が発行した請求書や領収書を確認してください。
あげる方も、もらう方も気をつけようね・・
(m)
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テーマ:動物愛護 - ジャンル:ペット
- 2012/07/20(金) 02:50:42|
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