~地域で進める官民協働~

「官民協働」というと、何やら硬いひびきですが、
行政と住民が協力して問題の解決をめざしたり、よりよい方向へもっていく活動のことです。

今日まで、日本の「動物愛護」活動は環境省が管轄する団体と、
さまざまな規模や分野の民間愛護団体や個人によって行われてきました。

そこに足りなかったのは、市民と行政が連携する地域活動です。
残念ながら、行政と愛護団体が反目しあう関係であったり、
行政の中での優先順位が低かったり、担当部署が消極的であったり、予算の問題もあったり、
「動物愛護推進員制度」が導入されていても、有効に活用できている自治体はわずかです。

殺処分をめぐる問題や犬の登録、野良猫の問題は、そもそも「地域の問題」であり、
日ごろから、地域に官民のネットワークがあれば、災害時にも機能します。

新潟県は、度重なる災害の教訓から、官民のネットワークを組織しており、
原発事故の直後より、福島県からのペット同伴避難者を受け入れました。

今年、2012年は「動物愛護管理法」の改正年です。
改正が検討されている課題の多くが、マンパワーを必要とするもので、
地方自治体の現状からして、行政だけで対応するのは困難です。
殺処分の施設を譲渡型シェルターに転換していく流れも考慮すれば、
法改正を、「絵に描いた餅」にしないためにも、市民との協働は不可欠です。

官民の協力のあり方は、すでに行われているように、
動物保護団体と連携して譲渡活動を推進したり、
「動物愛護推進員」を委嘱するなど、その地域の状況に合わせた形が望まれます。
行政と一緒に動くことを好まない人たちがいる一方で、
動物愛護団体に入って活動することを躊躇する人が多いのも事実です。
異なった(自分に合った)形態の活動が重複して存在するのは好ましいことです。

行政が募る公正中立で平等な推進員制度は、一般市民にとっては参加しやすいでしょう。
市民が、無理なく、金銭的負担を負わずに、活動を続けることができます。

一方で、信頼関係を築くには時間がかかりますので、官民双方に忍耐が必要となります。
ボランティアの側は、行政の批判ばかりせず、問題の解決に向けて、前向きに、辛抱強く
提案していくスタンスが望まれます。
単に、行政の要請に応じて動くだけでは、協働とは言えません。

ボランティアのレベルアップ研修も必要ですが、実際の活動を通して学ぶことも多々あります。
時間をかけても、地域住民、行政、もちろん、動物にとって、官民協働のメリットは大きいのです。

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2011年7月 杉並どうぶつ相談員による「犬と猫の飼養相談会」    2日間の来場者数 442名
               ☆ (子供たち向けの「正しい飼い方クイズ」やお絵かきコーナーも設けました)

では、どのようにして、官民協働を始めたらよいのでしょうか?
先ずは、きっかけを作ってください。
例えば、野良猫の苦情が多いなら、町会長や住民、ボランティアで協議をする場を
行政に作ってもらってください。
ボランティアは、ネットや口コミで仲間を募り、行政にセミナー等の開催を要望してください。
場合によっては、地元の有力者や議員に仲介を依頼したり、
「動物愛護推進員制度」の設置を要望したり、署名活動などを行う方法もあります。

ちなみに、杉並区では、10年ほど前、飼い主のいない猫の苦情が多かったことから、
保健所が「ノラ猫なんでもトーク」という集まりを開き、
そこに集まったボランティアが発端となり、
その後、「猫の登録制」や「餌やり罰則」条例が検討されましたが、
区内のボランティアが声をかけあい、署名活動や議員への働きかけを行って、
条例化の代わりとして区に提案したのが、現在の「杉並どうぶつ相談員」制度です。

(この時の活動の特徴として、意図的に、区外の愛護団体への支援の呼びかけは行わないようにしました。
地域の問題については、地域住民の意思表示が大切で、行政に対する外部からの非難や圧力は、
運動にとってマイナスになると考えたからです)

今後、官民協働は、地域によって、形や速度の差こそあれ、
日本の動物福祉活動の軸となっていくでしょう。
それは、地域ごとに、動物福祉の根っこを作っていく作業です。
パズルの一片、一片をうめていくようにして、日本全国の「動物福祉」の底上げをしていく・・
多くの市民が参加できる形へ・・それが、人と動物との共生を支える世論形成につながり、
「命を大切にする社会」へとつながっていきます。


★「杉並どうぶつ相談員」は、杉並保健所とともに、犬・猫の適正飼養の普及や、飼い主のいない猫を減らす活動支援、
  地域住民からの相談に応じるなどの活動を行っています。

(m)
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