【原発警戒区域 動物救援】~川内村・ペット泥棒騒動の顛末~

すでに読まれた方も多いと思います。
「裸のフクシマ」~原発30km圏内で暮らす~ (たくきよしみつ著)

著者は福島市出身。2004年末より川内村に移住。
原発事故発生からの出来事を、住民の視点から取材した手記です。、

政府や東電の右往左往ぶり、マスコミも加わっての情報隠蔽、矛盾だらけの補償制度、
線量が低くても、賠償を受けるために禁止された農作業、
一時帰宅ショー、火事場ドロボーのすさまじさ・・

「緊急時避難準備区域」である川内村の面積は、千代田区の17倍。
川崎市の1.4倍。そこに人家は約1000戸だけ。

現地の人々の生活や、原発事故の後に起きた出来事の実際が、
TVで流される映像や話とは、まったく違うということが、この本を読むと分かります。

「何も知らされずに高濃度汚染地域に残っていた人たちに接し、最初に、
避難した方がいいですよ、と汚染の事実を教えたのは、国でも県でも市町村でも
マスメディアでもなく、フリーのジャーナリストや学者たちだった」

「避難所周辺のパチンコ店は連日避難者で盛況だった・・・温泉施設に入った人たちは
三食昼寝付に加えて温泉まで入り放題。「毎日が慰安旅行状態」が続き、これまた
なかなか出て行こうとしない人が増えた」

「20キロ圏内を、「警戒区域に指定してくれ」と国に要望したのは他ならぬ福島県である。
その結果、どれだけの苦しみを県民に与えることになるのか、わからなかったはずはないのに」

警戒区域になる前に、
「動ける人たちは、すでに自宅から重要な物は大方車で持ち出していた。
20キロ圏が立ち入り禁止になった後も、
かなりの人たちが自分の車で「裏道」を使って一時帰宅を続け、
貴重品や家財道具なども何度も運び出していた。
・・・素直に指示に従い続けた人や車を失った人、避難所に連れていかれて
移動手段を失った老人たちなどが、家から何も持ち出せないまま、やきもきした時間を過ごしていたのだ」

とても読みやすく書かれているので、まだの方はぜひご一読を。

さて、著者のたくき氏は、動物好きのようで、かなりのページ数を割いています。

読売の「犬猫百匹盗まれていた」という記事は誤報のようですが、
              
http://doubutsuforum.blog.fc2.com/blog-entry-209.html

川内村でも、4月下旬から、ペットの犬がごっそり消えたそうです。

「他の地区でも、犬が消えたという騒動があちこちで起きていた」

著者によれば、原因は、ペットレスキュー隊が、立ち入り禁止の20キロ圏と、
普通に生活が許されている30キロ圏では、ペット動物たちの事情がまるで違っていたことを、
理解していなかったから・・。

「緊急時避難準備区域」の川内村では、万一の場合にそなえて、飼い犬のくさりを解き、
犬たちはわが世の春を謳歌して走りまわり、村を出て行った住民の犬も、近所の人がエサを
やっていたそうです。
それをレスキュー隊が、飼い主に置き去りにされ、野犬化した放浪犬と思い込んで保護・・

「ある団体のブログには、こんな風に書かれていた。
『20キロ圏内が立ち入り禁止になった以上、仕方ないから別のところに行ってみようよ、
ということで、川内村へ。行ったら犬だらけだわさ。畑を走り回る犬達をじゃんじゃん保護』
まるでゲームをしているような書き方に、思わずムッとした」

著者が毎日散歩させていた隣家のジョンも、ある日、忽然といなくなり、
ネットで懸命に探したところ、
愛護団体に連れ去られ、すでに里親のもとで暮らしていることが判明。
団体に連絡をとったところ、
保護活動を終えての帰り道、犬が一匹、けたたましく吠えながら車を追ってきたので、
「ぼくも連れて行って」と訴えられていると思い、連れ帰ったとの話。
「それは連れて行ってほしいということじゃなくて、単に遊びで追いかけていただけなんですよ。
動くものはなんでも追いかける犬なんです。おばかなので」

結局、飼い主が熟慮のすえ、里親に譲渡することにしたそうですが、
釈然としないのは、散歩の友を失った著者。

犬を連れ去られ、落ち込んだ飼い主。毎日、名前を呼びながら探していた人もいたそうで、
今なお行方不明の犬も・・。罪作りな話です。
ジョンをめぐる詳しい話は著者のブログで読めます。
           ↓          
阿武隈日記
http://abukuma.us/takuki/11/097.htm

とはいえ、レスキューする側は、20キロ圏内で、多くのペットが置き去りにされて餓死し、
その遺体を何度も目にし、しかも、20キロ圏内が警戒区域になって閉ざされ、
30キロ圏内も、いつ立ち入り禁止になるか分からない、とあせっていたと思うのです。

まずは、住民や役場と話して(残っていた人が少なくても)、ペット動物の状況を把握
してから、動くべきだったのではないでしょうか。
おそらく、ジョンのケースと似たような事件があちこちで起きて、
「ペット泥棒」というような物騒な言葉を頻繁に耳にしましたが、
実際には、こういうことだったのか、とようやく分かった次第・・

当のジョンは、どんな気持ちだったのでしょうね・・?



(m)
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テーマ : 動物愛護
ジャンル : ペット

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No title

こんばんは
ジョンは、元気だったけど、これでよかったとも思えない事件ですね。
こんなこともあるんだと、記事の紹介させてください。
よろしくお願いいたします。

No title

そらまめさん

記事の紹介よろしくお願いします。

ペットの為の保護が、住民とのコミュニケーション不足によって、
かえって住民を悲しませるようなことになるのは残念ですね。

No title

私は川内村の出身です。
ジョンはうちの近所の飼い犬(父)と、スピッツみたいな雑種の野良犬(母)との間に生まれた子でした。
全村避難になった後も、理由があって村に残った人は暗黙の了解で残された他家のペット達の世話をみていたようです。
その辺りは20Km圏内とは明らかに状況が違っていたと思います。
あのような危険な中、全国から遠い川内村まで動物達の保護に来て下さったのはありがたい事ですが、もう少し動物達の状態やまわりの環境などから緊急性を判断して、出来る限り了承を得てから保護してもらいたかったと思いました。
なぜなら確かに忽然とペットが消えてがっかりされていた人がいるからです。
今後の教訓にして頂きたいと思います。
川内村のペット達はペットといえどもかなり野生のまんまの子が多かったので、新しい環境でうまくやっていけてるのかなぁ・・・。
彼らも確実に原発事故の被害者です。
もうこんな事はこりごりですね。

No title

川内生まれさま

コメントありがとうございます。
ジョンをご存知なのですね!
ボランティアさんに悪気は無かったとはいえ、
飼い犬や猫を持ち去られた住民の方々の胸中を察するとやりきれません。
今なお、どこかのシェルターで、ケージ飼いされている持ち去られ犬がいるかもしれず、気がかりです。
「新装開店お庭にようこそ」(これで検索して下さい)
というブログ主さんは、
全国で保護されている犬猫の写真と保護地などをリスト(冊子)にされ、
取り寄せられますので、飼い犬など、お探しの方がいらっしゃれば、どうぞお伝えください。

No title

ありがとうございました。
さっそく保護動物達のリストを取り寄せて実家に送ろうと思います。

川内村は帰村に向けて頑張っています。
ゆったりのんびり自然と共に暮らしてきた人々が今、精一杯原発事故に立ち向かっています。
そんな人間達に、ペットが担う役割はとても大きいと思います。
私も日々犬達に助けられているのでわかります。
出来る限り、飼い主さんと一緒にペット達も帰村できるよう、私も探しあてる手助けをしていこうと思います。

ちなみにジョンの母犬は昨年亡くなってしまったそうです。
父犬の飼い主さんが、野良犬だった母犬を自宅のペットのように分け隔てなく扱っていたので、父犬と母犬はいつも仲むつまじく寄り添って畑で遊んでいました。
それは誰が見ても、心がほっこりとしてしまう光景でした。
そんな川内村に一日も早く戻ってほしいです。

No title

川内生まれさま

ジョンの母犬は亡くなっていたのですね。
でも、父犬と楽しく田畑を駆けまわって、
そんな自由は、都会に住む犬には望むべくもないので、
幸せな犬生でしたね。

南相馬のWさんが、多数のネット・ボランティアの方々と心を込めて制作されたリスト集から、
一人でも多くの方が愛犬、愛猫と再会をはたせますよう祈っております。

地図で、川内村をよく眺めています。
でも、地図だけからは、想像できないので、そのうち時間を見つけ、
緑の村に行ってみたいと思います。

No title

川内生まれさま

私も微力ながら、「新装開店お庭にようこそ」さんによるリスト集を通じて、飼い主さん探しのお手伝いをしています。
ちょっと気になって、川内村で保護された犬をリスト集で見ましたところ、とくに第1便にたくさん掲載されています。
たくき氏が本で書かれていたとおり、保護は4月下旬に集中しているようです。
ぜひリスト集すべて、ごらんください。探している飼い主さんの犬が見つかるかもしれません。

No title

「新装開店お庭にようこそ」さんによるリスト集を拝見しました。
改めて、被害にあった動物達の数の多さに唖然です。
この中から川内村の保護動物だけピックアップしたリストを作ろうと思います。
来月、帰省するのでたくさん作って持って帰ります。
情報をありがとうございました。
これからも楽しみにブログを拝見させて頂きます。

No title

川内生まれさま

4月上旬には、リスト集第4便も発行されるようです。

朗報をお待ちしています!
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動物との共生フォーラム

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