動物との共生フォーラム

Friends of Nature & Animals Forum

Book Review 野上ふさ子著「いのちに共感する生き方」

「いのちに共感する生き方~人も自然も動物も~」


動物愛護に携わる方々の間では「カリスマ」とさえ言われる「ALIVE」代表、故・野上ふさ子さんが

亡くなる直前まで執筆されていた自伝です。(「動物愛護」という言葉はお好きではなかったのでは・・?)


野上氏は、新潟県の旧家に生まれ、自然豊かな環境で、優しい母と倹約家の父、年の離れた兄たちと、

質素ながら、のびのびとした子供時代を過ごしたそうです。子供の頃から読書家で観察好き・・。

立命館大学哲学科に進学した当時は、大学紛争の盛んな時代。大学での学問に飽き足らず、中退し、北海道へ。

北海道ではアイヌの生活や文化を探求。北海道の自然環境が、ダムや道路開発などによって

壊されていく状況を目の当たりにし、反対運動に身を投じます。議員に立候補したことも・・。

新潟県の生家が、高速道路建設のために取り壊されたショックも大きかったでしょう。

その後も、日本のエコロジー活動の先駆者として、その流れの中で向き合ったのが、動物実験反対活動です。

1980年代、日本の動物実験の実態は、海外からもたびたび批判を受けていました。

実験犬シロの事件が新聞に取り上げられたこともあって、野上さんが事務局長を務めていた

「動物実験の廃止を求める会(JAVA)」は4千名を超える会員をもつ保護団体に成長。

そんな時に起きたのが、スタッフによる野上氏追放騒動です。

野上さんは著書の中で、「乗っ取り」という表現を使い、日本の市民運動の未熟さを指摘していますが、

スタッフの側から見ると、問題は野上さんによる会の私物化にあったようです。

野上さんは大学中退以降、ほぼ一貫してプロ活動家の道を歩んで来ました。

学生運動や住民運動が活発な時代でもあり、プロの活動家はアルバイトやカンパで生計を立てていました。

野上さんは、JAVA(当時)から月給30万円を得ていたとのこと(裁判資料より)。

(こうしたことは現在も多くの愛護団体で相通じるところですが、有償スタッフについては、会計報告などで

公表すべきであると考えます)

野上さんが、その後もJAVAの名を使い続けたため、JAVAは野上さんを訴え、野上さんは敗訴します。


そこで、新たに「地球生物会議~ALIVE」を結成。

野上さんが、あそこまでJAVAの名称に固執したのは、「この会は自分が作った」という自負心と

思い入れがあったからだと思います。野上さんの活動家としての経験や知識から見れば、

スタッフが未熟に見えたでしょうが、野上さんの方にも、無意識の驕りがあったのではないでしょうか。

しかし、新たな名称で再スタートしたことにより、動物実験の枠を越えて、活動分野は広がり、

ご本人も書かれていますが、モノは考えようというか、後になって振り返ってみると、マイナスが実はプラス

のきっかけであったことは誰の人生にもあるように思います。

野上さんは、そもそも著述家、研究者であると同時に活動家でもあり、ご本人は人との

コミュニケーションが不得手なタイプではなかったかと推測しますが(活動家には多いですね・・)、

活動するには組織が必要で、組織を支えるスタッフ(野上さんに協力してくれる人たち)が

必要となります。ショッキングな経験だったであろうJAVAの騒動を通して、

野上さんは、慎重に自分をサポートしてくれるスタッフを選んだことでしょう。

(以下、ALIVEのHPより抜粋)
http://www.alive-net.net/aboutus/sintaisei.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

従来、当会の活動は野上前代表の頭の中にある活動方針の下、活動を展開してきておりました。

野上前代表が全方位的に当会の活動・運営方針を決定し、実行されてきたわけです。

今後は、共同代表制による合議制や多人数の活動スタッフをまとめていくことが必要になります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ALIVE」さんには、これまでの野上代表の蓄積を糧に、今後は、スタッフの皆さまがそれぞれに力を

発揮され、新たなかたちで活動を盛り上げていっていただきたいと期待しております。

動物愛護管理法改正の検討小委員会などにおける野上氏の発言は貴重でした。

とくに、犬猫以外の動物、実験動物や畜産動物などに関する幅広い識見は他の委員を陵駕していました。

そういう意味でも、野上氏が抜けた穴は大きいです。


野上さんは作家でもあり、読みやすい文章で、興味深い自伝です。

とくに子供時代の頃のことは、とても面白く読みました。

いちかわともこさんの表紙の絵、すばらしいです。




「いのちに共感する生き方」・・・命への「共感」のあり方は、人さまざま、ですね・・。

(m)
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コメント

読みました。

お別れ会にも出席しましたが、
まだ亡くなってしまったショックと悲しみが強くて・・。

多くの方に読んでほしい本です。
これからもALIVEがんばれ!
  1. URL |
  2. 2013/03/19(火) 18:24:22 |
  3. m #hSCFVYi.
  4. [ 編集 ]

Re: 読みました。

mさま

コメントありがとうございます。

最近、「安井かずみがいた時代」という本を読みました。
カリスマ作詞家の生き様を綴ったものですが、

分野はまったく異なれ、
野上ふさ子さんも、時代の先端を駆け抜いていかれましたね。
  1. URL |
  2. 2013/03/20(水) 16:12:39 |
  3. タマらんブログ #-
  4. [ 編集 ]

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