以下、
動物との共生を考える連絡会のHPより転載します。 (下線は当ブログ)
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虐待のない 「上げ馬神事」(三重県)を願う
■上げ馬神事とは…上げ馬神事は、三重県の無形民俗文化財に指定され
、800年以上の伝統行事と称し
勇壮なお祭りとしてマスコミでも紹介されています。
毎年、町内各地区から選ばれた少年が、
わずか1ヵ月程度乗馬の稽古をしただけで、
猪名部神社では4月の第一土・日曜日に、
多度大社では5月4、5日に出場します。
この祭りは、約100mの助走路先の登り坂の頂点にある垂直な
高さ約2m (中央を凹ませて約1m70㎝に)の壁を超えるもので、
その成否に一喜一憂する観光イベントとなっています。
しかしながら、この壁の高さは国際馬術連盟の定めている
固定障害の安全基準をはるかに超えたもので、
馬の能力を無視した構造のために骨折等の故障馬のみ
ならず怪我人が毎年出ています。
★映像等は you tube 等で 「上げ馬神事」と探すことで見ることができます。
<改善された点と、残る問題点‐2012年>改善された点
◎当事者の取り組み
三重県全体で、上げ馬神事が、馬への虐待をなくし無形民俗文化財として
ふさわしい祭りにするための対応が認められた。
その結果、両神社で馬への直接的な激しい暴力(虐待)が、明らかに減少した。
多度大社ではそれが顕著に認められ、猪名部神社では一部に問題があるが
間違いなく減っていた。
◎飲酒の件
明らかに飲酒して酔っぱらっている未成年者と思われる青年がいなくなった。
さらに、大人の酔っぱらいも減っていた。
◎駆け上がる壁の件
猪名部神社では、坂上の垂直(90°)だった壁を傾斜(約75°)させたが、
高さは変わっていない。
しかし、この修正で馬が仰向けに転倒することが減ると思われるので、安全に向けて
一歩前進したものと評価しています。
<残る問題点>●馬に対する直接的な暴力はなくなったが、馬の前で大声で怒鳴る、腕、ロープ、
法被等を振り回して威嚇する、水をいきなり腹部に掛ける、小石や砂を投げつける、
長鞭を振り回す、などを行い、馬に恐怖心や不安感を抱かせて過度に興奮させる
行為が認められた。
その結果、馬が暴れ、立ち上がったり、跳ねたり、蹴ったりしたものが多く見られた。
●残念ながら、猪名部神社では、繰り返し馬の腹部を殴ったり、蹴ったりして虐待
した者がいた。
●未成年の若者が騎手に選ばれ、たった1ヵ月間の乗馬の稽古だけで、否応もなく
本番に挑まされている。馬を制御できない未熟な騎手が馬に跨るのだから、
騎乗時に馬を落ち着かせるべきなのに、逆に興奮させて馬を暴れさせるので、
落馬が多かった。今年は、それ以外でも、落馬、人馬転が多く認められ、
中には非常に危険な場面があり、避けられたのは運が良かったと言える。
●今年は幸いにも事故馬が発生しなかったが、この数年、馬が重度の障害を負って
予後不良で、安楽殺されているにもかかわらず、県教育委員会・文化財保護審議会は、
単なる事故でやむを得ないとして不問にした。
犠牲になった馬がどのくらいいたのか、調査もなく統計すらない。
犠牲になった馬達が哀れであり、馬の犠牲をこれ以上出さないために、何らかの対策を
講ずるべきであろう。
<連絡会の現地視察状況>
年次 視察状況 内容2008年
(平成20年) (猪名部) 馬が頭から壁に激突して鼻骨を骨折したためか、
大量の出血が両鼻孔から滴り落ち、足元の地面が
血の海になった。
観衆が注目しているにもかかわらず、
そのまま馬繋ぎ場に繋留し続けた。
(獣医師は、治療困難で、すぐに移動させるよう指示していた)
(多度) 上げ馬を失敗した馬が、騎手を乗せたまま走路を
逆に疾走し、観光客と関係者が巻き込まれ5名が
重軽傷を負った大きな事故 が起こった。
2009年
(平成21年) (猪名部) 右前肢の中手骨を骨折し跛行している馬を、
田圃の中の道路に停車している馬運車まで、
数百メーターも歩かせた(虐待)。
他に、祭り関係者が、上げ馬に成功した馬に
蹴られ頭蓋骨を骨折したが、命に別条がなく幸いでした。
(多度) 祭り当日ではないが、騎手が決まって乗馬の稽古中に
放馬し、その馬が走行中の自動車に衝突して死んだ、
と地元の人から聞いた。
2010年
(平成22年) (猪名部)一頭が、上げ坂にさしかかった時、馬が前のめりに
頭から転倒し、騎手は前方に投げ飛ばされた。
馬は、全く微動もせずにそのまま息絶えた。
この即死は、頚椎損傷によるものであった。
死馬を搬出するために、クレーン付きのトラックが
走路に入り、ブルーシートで覆われた死体を
ロープで吊り上げトラックに乗せて搬出した。
投げ飛ばされた騎手は、幸いにも打撲を負った程度であった。
(多度) 一頭の馬が、壁に激突した時に大腿骨を骨折して起立困難に
陥った。苦痛に喘ぎ横たわったままの馬の尻尾を持って
起たせようとした。
あろうことか、関係者の一人が馬の耳に水を注ぎ込んだ。
転倒馬を無理矢理立たせて参道から神社脇の道路まで、
大観衆の見守る中無理矢理歩かせた(虐待)。
その後、ブルーシートで囲い直接見られないようにしてから、
クレーンで生きたままロープで吊り上げ(究極の虐待)
トラックに乗せた。
そして、神社から少し離れた小道に移動してから
獣医師が呼ばれ、予後不良でその場で安楽殺された。
2011年
(平成23年)(猪名部) 一頭が、壁に激突して転倒し、数分後やっと起立したが、
歩行困難な様子であった。苦痛に喘いでいる馬を、
走路から馬場入り口付近まで数百メーターも無理矢理
歩かせた(虐待)。
ついに力尽きその場に倒れ込み起立不能になった。
その場に獣医師が呼ばれ、肩甲骨の骨折との診断で、
予後不良で安楽殺された。
一部関係者による馬への威嚇的な行為が認められた。
(多度) 残念ながら、一部関係者による馬への威嚇的行為が認められた。
2012年
(平成24年) (猪名部) 一人の騎手が坂の途中で転倒した時に投げ出され、
ぐったりして意識が無くなった状態に陥って担ぎ出された。
翌日には、その地区の騎手が交替した。
馬への直接的暴力は、さらに減っていた。
それにもかかわらず、馬を威嚇する行為が目立ち、
そのため馬が過剰に興奮して暴れた(暴れさせた)。
(多度) 馬への暴力は殆どなくなり、問題はほんのわずかであった。
馬への暴力をなくそうとする意志が強く感じられ、
例年みかけた要注意な人物もいなくなっていた。
残念ながら、壁が垂直のままで、高さも高いままのため、
危険な場面がいくつもあった。
騎手が乗馬してスタートする前後、上げ馬本番、
上げ馬の後で神社に向かって拝礼する場所等での
落馬が目立った。
●
故障した馬の取扱いは、無理矢理歩かせること、生きたままロープで馬を吊り上げて
トラックに乗せることなどは、苦痛に喘ぐ馬を更なる苦難に陥らせることになるので、
虐待的行為と言える。
故障した馬の搬送は、クレーン付きトラックを待機させるのではなく、走路に入れる
馬運車を用意して、事故馬のもとに行って、馬を乗せるべきである。
●
諸悪の根源と言えるものは、坂上に築かれた壁であり、その高さと角度が問題である
ことは言うまでもない。壁の高さが、国際馬術界が定めている固定障害物の高さ
(1.2mが国際標準)を大きく逸脱して1.7~2.0mになっている。
この国際標準は、上り坂の上に築かれる固定障害物を考慮したものではなく、
ほぼ平らな地面での障害物の高さを規定したものである。さらにこれに加えて、
途中から反り返った逆傾斜(オーバーハング)や垂直な壁は、極めて危険なもの
と言え、仰向けの転倒、転倒した馬が坂を転げ落ちるときなどで巻き込まれる可能性が
ある危険な構造となっている。
未成年の騎手と坂に並ぶ青少年達の安全のために、自主的に壁の高さを低くし、
壁を傾斜させる(猪名部神社は傾斜させた)ことを、切に願うものです。
(転載おわり)
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今年もまた「上げ馬神事」の季節がめぐってきました。
まだまだこの祭事のことを知らない方も多いのではないでしょうか?
今年は、負傷者が出るのか、負傷馬が出るのか、憂鬱です。
記録にあるとおり、毎年のように負傷者や、馬の骨折などによる安楽死、虐待が行われてきました。
五穀豊穣を願い、800年以上も続いている伝統的な祭りだそうですが、
現在、祭馬として使われているのは脚の細いサラブレッド(引退馬か廃用馬でしょう)ですが、
もともとは脚が太くて短い和種の馬であったはずであり、農耕に欠かせない貴重な馬を死なすという
のは道理に合いません。しかも、これから農作業が始まるという時期に・・。
どうも今や、よりスリリングでアクロバテックな、集客のための祭事と化したのではないでしょうか。
競走馬などとして散々、人のために働いたあげく、非常識な急坂を強制的に上らされ、時に、転倒して
苦しみながら最期を迎える状況となります。
しかも、開催場所は、本来なら、生き物を尊ぶべき
神社!!
その有様を見て驚喜する観衆とは?
★「動物との共生を考える連絡会」は、日本動物福祉協会など、動物福祉の向上をめざし、
スタッフには獣医師や動物愛護管理法改正に関わる委員も加わっており、
長年、「上げ馬神事」の改善に尽力されています。
皆さまに知っていただくため、転載歓迎!(m)
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テーマ:動物愛護 - ジャンル:ペット
- 2013/04/05(金) 14:54:55|
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| コメント:3
東員町の方の上げ馬に無理矢理参加させられていた者です。まず、この祭りに青年団員として参加しない若者は非国民扱いなので私は無理矢理参加していました。
虐待が減った??減ったのでしょうか、隠すのがうまくなったのでしょうか。今だに馬への興奮剤の投与はちょくちょくあります。出走を控えた馬が1人や2人の青年団員によって馬屋から連れ出されたら注射にほぼ間違いないです。コソコソと平気でそんなことをしています。馬を扱う青年団員は全員酒に酔っています、そんな若者がペラペラの知識で馬を扱う、これも事実です。練習を見れば竹で煽る姿や言うことをきかない馬への暴力がもっともっと目に入ることでしょう。ネット上のこういった情報は氷山の一角の先端くらいのものです。
- URL |
- 2014/03/12(水) 00:25:39 |
- 元関係者 #tPoE3HWY
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