2013年・動物愛護管理法改正の課題~環境省議事録から~

現在、国レベルの動物行政では、今年9月に施行される改正動物愛護管理法の基本指針に係る見直しが
進められています。

環境省中央環境審議会動物愛護部会第36回(2013年3月22日)の議事録には、
自治体や動物取扱業、動物福祉団体などへのヒアリング内容が収められていますが、
その中で、日本動物福祉協会の山口千津子獣医師の発言は目新しいものではありませんが、
日本の動物福祉の課題(犬猫について)が集約的に網羅されていますので、以下、抜粋します。

議事録 http://www.env.go.jp/council/14animal/y140-36a.html

(下線は当ブログ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【山口氏】・・前略・・
 まずは、この基本指針の全般にわたる考え方の中に、動物福祉ということを位置づけていただきたい。
それぞれ項目が、普及啓発とずっとありますけれども、まずは基本の考え方ということで、かわいいとか、日本の言葉のかわいいというのは、世界中に行き渡っているみたいですけれども、動物愛護及び管理の基本的な考え方というのは、気持ちの表れというのではなく、動物が必要としている五つの自由に基づいたニーズ、それを確保して、動物を適切に飼育管理して、「人と動物が共に暮らす命にやさしい社会」を目指すということでございますので、動物福祉の確保ということをこの基本指針の全体の基本に流れるものとしていただければと思います。
 
・・・中略・・・

まずはこの施策の1番目の普及啓発という中で、今までから既に、いろいろな地方自治体も、学校においても、
いろいろな機会を捉えて動物愛護教育というものはされてきております。
実際、私どもの連絡会においても、連絡会に所属しているそれぞれの団体、私どもの協会もやってきております。ただその中で、少し懸念されていることが起こってきているのは、とにかく動物をさわらせれば、それが「いのちの教育」だというような感覚に陥って、動物を連れ回して、動物をさわらせてこれが教育だと言っているところが起こってきたりしているところもございます。その結果、翌日にはさわらせた子犬、子猫はもうくたっとして下痢・嘔吐の症状が出ているということもございます。
 今、奈良県で「いのちの教育」というのを始めているのですけれども、
そこでは、動物と触れ合わせてということではなくて、動物にかわる張り子とかパネルとかいろいろなもので、
動物にストレスをかけることなく「いのちの教育」、子どもたちに命への共感、感性を育むということがかなりできていて、先日は、尾木直樹先生の前でも模擬授業というものをやらせていただいたのですけれども、かなりいい評価をいただくことができました。
張り子ですと、動物にストレスをかけることなくいろいろなところへ出かけていけますので、そういうものと、
実際に動物に接するということとうまく組み合わせれば、何が何でも動物ということで、動物にストレスをかけて、動物が翌日大変な思いをするということは減る、なくなっていくのではないかなと思います。

それと、私どももセミナーなどいろいろやっておりますけれども、いつも思いますのは、セミナーなどに来られる方は、大体メンバーが決まっている。みんな、わかっている人が来られるのですね。
私たちが望んでいるのは、そういうセミナーにも来ないような、本当にちょっとトラブルを起こしそうな人たちに、いかに動物愛護管理法とか動物の適切な飼育管理のことをお伝えできるか、その方法を是非、これは官民、みんなが知恵をあわせて模索していきたいと思います。

・・略・・最初のほうに、自治体の方々からお話がありましたように、今回の法改正で、譲渡率アップ、それから返還率アップと言われて、殺処分を減少するようにということになっているのですけど、もちろんそれはやっていただきたいことなのですが、懸念しておりますのは、動物管理センターとか、まだ管理センターもないところもありますけれども、新しい施設は本当に立派な土地もちゃんと確保されているのですが、まだまだその予算がなくて、昔ながらのところが自治体でもあります。そういうところで、とにかく殺処分数を減らして譲渡をするようにとなりますと、そこにたくさんの動物を保護することになります。動物を長期間保護するということは、お金も人手もスペースもみんな必要なのです。そこできちんとした飼養管理をしなければ、動物ももらわれていかなくなります。ですので、ここで本当にその予算措置なしにこの法律を守れといっても、かなり難しいところが出てくるのかなと。自治体であって動物のホーダーをつくってしまうようなことがあるのでは、自治体というところは、皆さんに飼い方の指導をするところですので、適切な飼育管理を本当はモデルとしてしなければいけない場所ではあるのですが、それが、ホーダーのような状態になっては何もならないです。
ですから、是非この法律を推進していくためには、自治体に対して、国としての、それから民間としてのバックアップもしていかないとだめかなと思います。 

・・・略・・・ 
官民共同で適切な飼育管理、あるいは施設に置いておくのが精神的に無理な子については、フォスターファミリーをお願いするということもできると思うんです。海外の団体は、施設はあるけど、その周りにフォスターファミリーのグループがいっぱいいて、うまく民間と連携しているところがありますので、そういう制度ももっとつくっていければいいのかなと思います。

それから、殺処分数を減らすのは、センターから出ていく子を減らすことも大事ですけど、センターに入ってこない子を増やすこと。幸せに家庭で暮らす子を増やすのが一番ですので、そのためには、もう飼い切れないと思うような人をなくしていくための、その手前の問題行動などのところで相談できるところ、そしてもう飼えないと思う前に改善していけるような、そして末永く家族として飼えるような相談場所といいますか、そういう問題解決できるようなシステムを構築して、センターに動物が来なくて良いようにできればなと思います。センターで引き取りません、あなたはまだ飼えるでしょうと言って断って、センターに来る数を減らすよりも、そういう問題解決を提供できるようなところを増やすほうがいいと思うのですね。断ると、その断られた動物が、断られたから仕方がないから引き下がるけれども、隣の県に行って捨てられているかもわからないし、あるいは仕方なく飼っているけれども、それはもう家族という扱いではなく、庭の隅につながれたまま、かみつかれた人たちにとっては、御飯をあげるのも怖いですから、器に入れて棒でシューッと押すような、もう本当にコミュニケーションのとれない、飼い殺しというような状況ということもあり得るわけですので、そういうことのないような状態を生み出すようなシステムをつくり上げればなと思います。

それから多頭飼育、これはもう本当にどこの自治体も頭を悩ましていらっしゃるところだと思いますけれども、多頭飼育は本当に警察との連携も大切です、これはアメリカではきちんと精神科医のほうで分析されておられますけれども、精神的にちょっと、もう正常ではない状態になっていらっしゃる方も、ちょっと精神病理があるという方もいらっしゃるということで、アメリカなどの場合は、カウンセリングを受けなさいというようなシステムもあるようでございますので、その対応をするときには、人の福祉とか公衆衛生とか精神衛生等の専門家とも連携することで、なかなか周りとうまくコミュニケーションをとれない方が、大体多頭飼育で苦情として上がってくる場合が多いですので、いろいろな方々の協働事業で対応するということも必要かなと思います

それから、虐待の事例が少しずつ法律で示されましたけれども、では、実際にその虐待の示されたことを踏まえて、実際の事例にどんどん積極的に取り組んでいただくということが必要かと思います。日本の法律は判例主義と言われているそうですので、どんどん事例を積み上げていかないと、法律を変えていくことができないということと、今回、呉では、毎日のように新聞で今日17匹目が殺されたとか、20匹目が殺されたとか新聞をにぎわしていますけれども、なかなか捕まえることができない。同じような事例が今度はあっちこっちに飛び火して、猫が最近ではあちらこちらで、それも残虐な殺され方をしているということがございますので、是非早く警察がこの法律を適用して捕まえていただかないと、法律があるのだよということを世間にアピールしていただかないと、法律があってもなきがごとしということになると思います。 ⑧

それから迷惑問題は、これも多頭飼育と同じで、早期介入、早期改善指導ができるような仕組みをつくり上げることかなと。
地域猫は、本当は横浜が発祥なのですけれども、いろいろなところでだんだん広がっていっています。
地域猫は、100%新しい飼い主を見つけることができない、この現状での対策ということで、
最終目標はみんな家庭の家族として迎え入れられることです

最近、地域猫という言葉の前に、端から全部不妊手術していかないと追いつかないのではないかというほど、猫は外にいることが多いですので、この不妊・去勢手術をいかに徹底させるかということを、お金のことも含めて、官民共同で、これは事業をやっていくべきことかなと思います。 

それから、特定動物につきましては、東京辺りは相当な方が、動物園にもいないような恐ろしい動物を飼っていらっしゃるかもわかりません。隠れて飼われているとわからないですので、いざこれが大地震が起こったときに、その辺から出てくるのではないかな、と思っておりますので、特定動物、飼養許可基準をもっともっと厳しくしていただいて、実際的には飼えないようにしていただければなと思います
個体識別はもちろん、特にマイクロチップは、入っていたら今回の東日本大震災でも、元の飼い主のところに戻った子が相当いるだろうと私どもも思っています。

それから動物取扱業は、皆様、結構お話しになりましたので、あまり上乗せは言わないでおきたいと思いますけれども、ただ、56日以下ということですが、当然これは早く移行していただきたいと思っているのですが、それと同時に、56日までの間の飼育管理基準を早くきちんとしたものを決めて、それを法律のもとで守らせるように、それを守っていなかったら罰則もあるよというぐらいにしていただかないと、56日まで、はい、いました。今出しましたといっても、先ほどから飼い主さんが手を入れないと人になつかないというお話が出ておりますけど、ブリーダーさんがそれをやらない限り、56日までいました。けれど、飼育管理は劣悪で、病気だらけだわ、人にもなつかないわというような子が人に提供されるということになると思いますので、その飼育管理基準を守らせるということはとても大切なことだろうと思います。 
                             (転載おわり)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さすがに、ここで時間オーバー、部会長からストップがかかりました。

課題ごとに分けてみたら、なんと11。

下線を引いた箇所は、とくに重要ではないかと思った部分です。

後日、いくつかの課題について、当ブログでもコメントさせていただきます。

以前にも書きましたが、環境省・動物愛護部会などの議事録は第一級の資料です。

動物愛護推進員はもちろん、犬や猫の現場活動をされている方々にも、ぜひ目を通していただきたいと

思っております。

どんな分野でも言えることですが、「自己啓発」は常に必要です。

(m)
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