福島第一原発観光地化計画

チェルノブイリ「ガイド本」 東浩紀ら未来の福島考える
http://www.asahi.com/culture/articles/TKY201307160355.html

(以下、朝日新聞より抜粋) 太字は当ブログ

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【塩倉裕】27年前のチェルノブイリ原発事故の歴史は現地社会にどう刻まれているのか。

同原発への「ツアー」を使って取材をした異色の紀行が

『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』として刊行された。

四半世紀以上先の福島を考える参考に、との狙いがある。

言論誌「思想地図β」の最新号として今月上旬に発売された。批評家の東浩紀、ジャーナリストの津田大介、

社会学研究者の開沼博ら9人の取材陣が、4月に現地を訪ねた。


ダークツーリズムは「観光学の先端で注目されつつある概念」であり、アウシュビッツや広島のような

「歴史上の悲劇の地へ赴く新しい旅のスタイル」である、と同誌は紹介する。

チェルノブイリ原発周辺の立ち入り禁止区域でも近年、ウクライナ政府の管理のもとで旅行会社やNPO

による一般向けのツアーが解禁されており、内外から客が訪れ始めている。

・・・(中略)・・・

ウクライナ政府の担当者は「事故跡地をオープンにする最大の目的は啓蒙です」と語った。

旅行会社の代表は、チェルノブイリ観光の意義は外国人観光客が「このような災害は自分の国では

決して起こしてはならないと考えるようになる」ことだと話す。

少年期に原発事故で故郷を失ったNPO代表者は、自分たち避難者は避難先の住民に嫌われたり、

いじめられたりしたと証言した。現在はツアー事業を担う。


チェルノブイリ訪問は、東らが進める「福島第一原発観光地化計画」の一環だ。

25年以上先の福島を想定し、事故跡地を観光地化することで地域の復興と記憶の継承を支えようと

訴えている。

計画には反対の声も多い。特に「観光」の持つ商業主義の側面に批判や警戒が寄せられている。

だが今回「ガイド」の編集後記で東は、商業主義との接続なしに悲劇の記憶は継承されるのか、

と問い返した。

「観光客は無知で無責任だが、そのぶん自由で予断をもたない」とし、「ぼくたちはもういちど、

「楽しむこと」のシリアスな価値について考えてもいいのではないか」と書いている。

                              (抜粋おわり)
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「ダークツーリズム」。どこかマニアックで、今どきの発想による言葉と感じる。

「歴史上の悲劇の地へ赴く」ことは、「新しい旅のスタイル」なのだろうか?

例えば、沖縄の戦跡などは以前から、「観光ツアー」に組み込まれており、多くの一般観光客が訪れる。

沖縄の人々が蒙った災禍を、本土の人々にも知ってもらいたいというウチナンチューの強い思いが感じられる。


有史以来、人類の歴史は殺戮の歴史と言い換えてもいいほど、世界各地に悲劇の史跡は散在している。

現代史で言えば、アウシュビッツ(現地名はオシビンチム)は「ダークツーリズム」の典型。

90年代に訪ねたが、ガス室や、残された大量の毛髪、メガネなど、20世紀の大量殺戮の現場は、

歴史というには未だ生々しく、「楽しむことのシリアスな価値?を考える」余裕もなく、

ただただ背すじが凍る思いがした。

世界各地から人が来ており、バスツアーもあったが、観光地とは言いがたい雰囲気だった。

収容所自体が辺鄙な場所にあり、一般の観光客はせっかくの休暇にわざわざダークな場所を

訪ねたいとは思わない。史実に関心をもつ人間だけが来る。あるいは、修学旅行などの見学。

ユダヤ人が収容されていたバラックの入口で、ドイツ人とおぼしき十代の若者たち数人が真剣な

面持ちでディスカッションしていたのを憶えている。(ドイツ語だったので内容は分からなかったが・・)

日本人は外国へ行って、自国が犯した悲劇を刻む場所に佇み、語りあえるだろうか。

ドイツはダッハウなど、国内のユダヤ人収容所(跡地)を記念館などとして一般に公開している。

チェルノブイリは四半世紀を経て一般にも公開された。その意味は大きい。

悲劇の史跡はやはり、「観光」の持つ商業主義的な面とは一線を画し、「起きた事を後世に伝えたい」

という人々の強い思いと不屈の努力に支えられ、残存しているのだと思う。

(もっとも、アメリカのセーラムなどは、「魔女狩り」を完全に観光ネタにしているが・・)


警戒区域で、経済価値のなくなった牛を生かし続けている「希望の牧場」とも相通じるものがある。


強引に原発再稼動と輸出を推し進める政府と電力会社が、フクシマをチェルノブイリのように、

後世への啓蒙の史跡として残すとは到底思えない。

むしろ人々の記憶からなるべく早く消し去ろうと懸命のように見える。

被災した住民は、どのように考えるのだろうか。

政府や自治体は住民の帰還を目標に掲げるが、被爆線量を、国際放射線防護委員会(ICRP)が

平常時の一般人の限度とする年間1ミリシーベルトに下げるまで、どれほどの年数がかかるのか、

見通しは立っていない。

そして、住民が住み続けている地域の中には、避難している地域より放射線量の高い地域もあるのだ。

(m)
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