坂東眞砂子氏「子猫殺し」の真相をめぐって

今年1月に亡くなった作家、坂東眞砂子氏を偲ぶ会が2日に都内で開かれた。

【記者ノート】坂東眞砂子さん、「猫コラム」の真相
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20140416-OYT8T50158.html?from=yartcl_blist
(2014年04月25日 YOMIURI ONLINEより抜粋)

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坂東さんはタヒチ島在住だった2006年、ペットの避妊手術への疑問から、

飼い猫が産み増えすぎた子猫を崖から落とし、「私は子猫を殺している」と書いたコラムを、

日経新聞夕刊に掲載し、波紋を呼んだ。


このことについて、東野圭吾さんが、「じつは子猫を殺してなどいなかった坂東眞砂子さんのこと」

と題する追悼文を、集英社の文芸サイト「レンザブロー」に今年2月に発表している。


その文章によると、東野さんが当時、帰国した坂東さんに会った際、

その崖は2メートルほどの段差の上、下も草むらで落としても死なない状況で、

「正確にいうと、子猫を草むらに捨てた、ということやね」と語っていた。

また、問題のエッセーには、「人間が(牛、豚、鶏など)動物の肉を食べるなら、

生きていくために命をもらっていることを自覚するため、その動物は自分で殺すべきだ」

との思いが根底にあった旨話していた。その信念の延長線上にある思いを伝えるため、

「(生き残るのが難しい場所に捨てて)子猫を殺しているも同然」ではなく、

「殺している」と衝撃度の高い表現をしたらしいという。・・後略・・(文化部 佐藤憲一)     

                  (抜粋おわり)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
坂東氏の「子猫殺し」のエッセーに対するバッシングは激しかったようだ。

私も週刊誌の見出しで見かけたような気はするが、「山姥(やまはは)」のような

作品を書く作家だもの、相当に変わった人なんだろう、と思ったぐらい・・。

(ちなみに「山姥」は日本の土俗的な要素をぐつぐつと煮詰めて具現化したような力作で

小説の中盤まではぐいぐい引き込まれて読んだ記憶があります)

「子猫殺し」のエッセーの中で、坂東氏は、獣の「生」を充実させるために避妊せず、

交尾をさせたと書いたが、彼女の「獣」の解釈に違和感を覚える。

動物は、野生動物か、品種改良されているかで別れる。

犬や猫などの家庭動物は、気の遠くなるような歳月をかけて、人間の役に立つように、

改良されてきたという既存事実がある。幸か不幸か、彼らは帰る自然を奪われたのであり、

奪った人間には彼らの面倒をみる責任がある。

坂東氏は、野生動物と家庭動物を「獣」として一括りにし、混同している。


「崖から落として殺した」という表現が苛烈であるために激しい非難を浴びたが、

実際には、段差のある草むらに捨てたのだという。

「それならたんに捨て猫ではないか」と東野氏は追悼文の中で書いているが、

instant death と slow deathの違いでしかない。

行動そのものは残酷に思えるが、崖から落とした方が子猫の苦痛は少ないだろう。

飼い猫を不妊せず、子猫を産ませては川に流すような行為は現代の日本でも行われている。

けれど、知的な居職の人の行為であったために世間の関心を呼ぶことになった。

その後に出版された「子猫殺しを語る」を読むと、彼女なりのれっきとした論理が分かる。

「子猫殺し」を語る――生き物の生と死を幻想から現実へ「子猫殺し」を語る――生き物の生と死を幻想から現実へ
(2009/02/25)
坂東 眞砂子、佐藤 優 他

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その論理に反論する作家も多い。

故・立松和平氏のコメント。

「子猫が生まれてしまうと、本当に困るので、ウチでは避妊手術しています。

手術は人間の勝手と言えば勝手だけど、一緒に生きるためには仕方がない。

坂東さんは、猫の<本質的な生を、人間の都合で奪いとっていいものだろうか>

と主張しているが、だったら人間の勝手で、子猫を殺してもいいのでしょうか。

命をとるよりは避妊手術のほうがずっとマシだと私は思う。

自分の論理を押し付けるくらいなら猫を飼わなければよいのです」

多くの人の気持ちは、立松氏のコメントに集約されると思う。

坂東氏は、飼い猫の「生」を充実させるために、子猫の「生」を犠牲にした。

彼女にとって、飼い猫の「生」は子猫の「生」より重く、感情的な差別があった。

さらには、飼い猫から「育児」という充足感も奪っている。

どうしても猫を飼いたいし、避妊したくないと言うのであれば、野良ネコがごろごろいる

タヒチであっても、産まれた子猫の里親を探す坂東氏(人間の側)の労苦も求められる。

猫に避妊させたくないという人は結構いる。不自然だ、種が滅びるなどという理由で・・

その気持ちも確かにわかる。但し、産まれる子猫の命にも責任を持って欲しい。


坂東氏に対するバッシングは一過性だったと思う。

とくに、ネットは、過激なネタにワッと興味本位に反応してパッと引く。

今でも「子猫殺し」のイメージがつきまとうのは、紙媒体に載ったからではないだろうか。

「子猫殺しを語る」を読むと、頷ける事柄も多々あるが、

(例えば、現代の人間が動物の命を奪って生きているにも関わらず、スーパーのパック詰めされた

肉や魚しか見ていないため、命を戴く感覚が希薄になっていること、など・・)

なんとなく、彼女の弁明の書にも思われるし、実のところ、本音では、

「子猫殺し」のエッセーを書いたことを悔やんでもいたのではないだろうか。

偲ぶ会での、作家・桐野夏生氏の追悼のメッセージ。

「高知の山奥に独りで住むこともできた、個で生きる強い人。

彼女自身が、(直木賞受賞作の)『山妣やまはは』だったのでは」(言い得て、微妙・・)


作家には動物の虐待歴をもつ人々がいる。誇張されているのか、どこまでが本当なのかは

測りがたいが、井上ひさし氏、柳美里氏など・・

猫殺し、の記憶で、柳美里氏のブログを検索してみたら、なんと、ほぼ「猫ブログ」!

作家の屈折した愛情のなせる業なのだろうか・・。


坂東眞砂子氏のご冥福をお祈りいたします。


(m)
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