ネットで検索をかけると、地域猫活動を推奨する
記事の一方で、活動に反対する記事も多数
見受けられます。
以下は、地域猫活動の主な問題点です。
1、地域住民への押しつけ飼い主のいない猫の問題は地域で解決すべき問題
というアプローチは、野良猫の被害にあっている住民や
猫嫌いにとっては、なぜ協力しなければいけないのか、
理解に苦しむところでしょう。
野良猫はもともとは人が棄てたのだから、という理由は
現在の首都圏では昔話です。
例えば、杉並区で行ったアンケートによれば、猫の
飼育者の9割が不妊去勢をしています。
室内飼育は8割超。
地域でノラ猫の被害を起こしているのは、不妊去勢を
せずにノラ猫にエサを与え、猫を増やしている住民に
よるものです。防犯、防災、子育て、高齢化問題、引きこもり・・・
地域が抱える課題は沢山あります。
加えて、住民は仕事や育児、介護などで多忙です、
猫により被害を受けている住民や無関係な人々にまで
協力を求めるのは理不尽ではないでしょうか。
実際、飼い主のいない猫のTNRや世話をしているのは
猫好きの住民が大半なので、表現を変えるべきでしょう。2.誤情報の流布・屋外にいる猫の寿命は4~5年
と説明されますが、
これは平均寿命です。 子猫の死亡率は非常に高いですが、1~2年生きながらえる
ことの出来た猫は適切に世話をすれば10年以上生きます。
現に、筆者の近隣にいる猫の多くは10歳以上生きており、
最長寿は18歳のオス猫でした。
猫の頭数にもよりますが、10年以上、活動が続くこともあり、
終息までに長い年月を要します。
数年我慢すれば終わると思っていた猫嫌いの住民に対して、
期待を裏切ることになります。
長年にわたり毎日の世話が必要な活動であるため、続ける
うちに、世話をする人たちが転居したり、色々な事情で世話
ができなくなったりし、世話の負担が増大します。
・トイレの設置は必要ですが、どんなに工夫をしてもすべての
猫がそこでふん尿をしてくれるわけではありません。
住民やボランティアがフン尿を片付けることになっていますが、
他人の敷地にまで入って片づけることはできません。
地域猫の管理といっても、確実にできるのは食事のあとの
片づけと清掃ぐらいです。
3.他地域からの猫の流入 陸の狐島でない限り、他の地域から餌を求めて、
あるいは発情期に新たな猫が流れてきます。
これらの不妊を怠ると、またあっという間に頭数が増えます。
飼い主のいない猫の不妊去勢に関しては、一つの場所にいる猫の
少なくとも75%以上を不妊しないと頭数制限の効果がでないことが
アメリカで研究発表されています。
4.虐待の誘発 ノラ猫の数がなかなか減らず、しかも公園などで群れている場合、
猫嫌い、猫に迷惑を被っている人による虐待を誘発する可能性
があります。
人に馴れているノラ猫はターゲットになりやすいです。
5.熱心な猫活動家は少数地域で野良猫が増えたので、不妊去勢をし、世話をする
猫好きの住民はいます。この人たちは自分を猫のボランティアとは
思っていないでしょう。
地域猫活動の主体は住民と言いつつも、
地域猫活動が活発な地域で活動を牽引しているのは多くの
場合、地域猫活動がライフワークとなっている活動家です。
毎日の大半を猫活動に費やしています。
TNR、保護、譲渡、広報、交渉、SNSなど…。
仕事などをもつ普通の猫好きに出来るレベルではありません。
アメリカのPBS(公共放送)でも、TNR活動(アメリカには
日本のような地域猫活動はありません)は大変すぎて、
ボランティアの人数が増えない、と報じていました。
以上のような問題点を考えると、
地域猫活動は決して容易い活動ではないと言えましょう。
(m)
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テーマ:動物保護 - ジャンル:福祉・ボランティア
- 2017/12/29(金) 22:22:07|
- 地域猫
-
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| コメント:2
鍵コメさま
コメントありがとうございます。
地域猫活動は開始したなら毎日エサやりと片づけは
必要ですね。
当初予想したよりも、はるかに活動が長引き、
途中でドロップアウトするか、逆にハマるか、ですが、
一人で行うのではなく、チームワークで活動した方が
物理的にもメンタル的にも良いと思います。
地域猫活動をいかにも良策として推奨している自治体
もあるので(一番がんばるべきは行政ですが)、
地域猫活動の実状を経験と見聞に基づき書いています。
「地域性」によって大きく左右されると考えます。
地域猫に関する記事はもうしばらく続きます。
- URL |
- 2017/12/30(土) 21:54:52 |
- 動物との共生フォーラム #-
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