地域猫活動に関する記事を6本書きましたが、
いよいよまとめです。
近年、「地域猫」という言葉のみが一人歩きし、
誤った解釈が多々見られるということで、
地域猫活動を再定義する動向があります。
ただ、筆者としては、あまり方法論にこだわらず、
(エサを与えるだけの地域猫では困りますが)
その地域、状況に適した方法で活動すればよい
のではないかと考えます。
※前述したように、杉並区では厳密な地域猫
活動はあまり見かけないように思いますが、
一つの指標ではある殺処分数など、結果は出しています。
地域猫活動と保護譲渡活動は既に書いたとおり、
本来一体であり、分ける必要もないものです。
いずれにせよ、大切なのは、行政による広報。
そして、官民連携による啓発活動です。今更ですが、地域猫活動は目的ではなく手段です。
携わる者は、猫を減らす気配りが常に必要です。
筆者の地域では、二十年ほど前、野良猫が20匹
ほどに増えた駐車場があり、給餌と清掃をしつつ、
成猫を不妊去勢し、保護、譲渡せず、
住民2名で見守り管理したところ、
最後の2匹を近隣のお宅に誘導して活動を終わらせる
まで10年ちかくかかりました。
その間、病気になる猫、病気が悪化する猫、毒殺が
疑われる猫が相次ぎ、猫にとっても環境は過酷でした。
猫がいなくなったりすると、世話をする側も心配になります。
いったん活動は終息しましたが、7~8年後、少し離れた
マンションの駐車場で、遠方からエサをやりに来る人により、
また野良猫が10匹ぐらい集まるようになりました。
この時は不妊去勢後、住民4人ほどで、積極的に保護、譲渡し、
残った2~3匹を近隣の世話人宅に移動させ、
1年ほどで駐車場に猫はいなくなりました。
積極的に保護・譲渡することで、猫も幸せな環境へ、
住民もフン尿などの被害から早期に救われます。
どれだけ多くの猫を譲渡させることができるかが
地域猫活動の成功の鍵と言えましょう。加えて、野良猫問題を環境問題として捉える考え方にも
疑問があります。
「地域猫」という言葉を発案された黒沢獣医師も屋外に
いる野良猫に対して憐憫の情をお持ちだったはずです。
ただ、行政という立場上、「環境問題」というアプローチを
されたのではないでしょうか。その目的は、地域の住民
みんなで考えてもらうためです。
「動物愛護」というアプローチでは猫を好きな人たちだけの
問題になってしまうからです。
しかし、「環境問題」という括りの中に、一つ一つの命の
尊さ、命への慈しみ、といった感覚は感じ取れません。
野良猫の問題が環境問題として解決しても、
地域の人々に、身近な命との共生(猫だけではありません)
をめざして考えてもらう理念も求められると思います。
フン尿被害が無くなっても、子猫に水をかけて追い払う
ような住民が多いなら、人にとっても住みやすい地域とは
言えないでしょう。
野良猫の問題は、色々な観点で、人の心の問題です。ボランティアも活動年数が増え、様々な失敗や後悔、
経験を経れば、「環境問題」から「命の大切さ」を認識するのが、
自然の流れではないでしょうか。
(つづく)
(m)
- 関連記事
-
スポンサーサイト
テーマ:動物保護 - ジャンル:福祉・ボランティア
- 2018/01/31(水) 18:15:28|
- 地域猫
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0