ある猫ブログの「動物虐待をなくすには」という
記事がSNSでシェアされているのを目にしました。
毎日ネットに溢れるブログ。
疑問に思う記事を見ても、それはそれで、
他人の意見として看過しておりますが、
この記事に関しては下記の部分、見過ごすわけにもいかないと
思い、意見を述べさせていただきます。
以下、引用。
「虐待者は、
一次感情として不安・辛さ・苦しさがあり、
二次感情として怒りが発動する。
たとえば
仕事で上司に怒られたなど辛い気持ちを抱えたところに
ペットの犬に吠えられて、怒りを爆発させ虐待してしまう
ような事例です。
(中略)
「動物虐待をなくすためには、
動物虐待者を責めずに
受け入れ、助ける。
自分が敵(警察などへの通報者・批判者)
ではないことをわかってもらい
給餌や、犬舎の掃除などを一緒に行う。
大切なことは、できる範囲で助けること、
自分ひとりで無理せずに、みんなで助ける」(引用おわり)
上記の文章は講演者のパワポの文をコピーしたものです。
「わんにゃん感謝祭」(主催:日本動物虐待防止協会)で、
獣医系技官として食品衛生行政に携わってこられた
先崎仁思氏による講演の一部です。
先崎氏のプロフィールを見る限りでは、ペットロスを
主な研究?テーマとされているようです。
結論から言って、動物虐待を世の中からなくすことは不可能です。
人間が動物を慈しみ、助けたいと思う気持ちを持つ一方で、
動物を虐めたいという気持ち(対象は動物のみにあらず)もまた、
人間の本能であるからです。
この忌まわしき本能をなだめ、抑え、人道的な方向へと
精神のかじ取りをするのが教育であり、人間関係を含めた周囲の環境です。
講演を聴いたわけではないので、実際には多くの説明がなされたのかもしれません。
ブログ主の方が講演を聴き、「目からウロコ」で勉強になった
と強調されているのが濃字の箇所ですが、
この部分だけを取り上げると、誤解を招きかねません。動物虐待は、軽微なものから深刻なものまで、レベル差が大きく、
どのレベルの動物虐待を指しているのか、引用文からは不明です。
「ストレスが溜まって、犬を叩いてしまった」というレベルなら、
周囲の「みんなで助ける」ことも可能でしょう。
「給餌や、犬舎の掃除などを一緒に行う」とはブリーダー崩壊や
多頭飼育崩壊、ネグレクトのタイプの動物虐待を指しているのでしょうか?
アニマルホーダーの要素がある場合にはリピート性があり、
心理カウンセラーなど、専門家のヘルプが必要と言われています。
昨年、多数の猫をバーナーで焼いたりした虐待事件がありましたが、
そのような深刻な動物虐待に関しては、速やかに警察に通報し、
虐待者に処罰を科し、多くの場合、精神科医による”治療”が必要です。
治療しても治らない場合は、人身犯罪へとエスカレートしないよう
監視も必要となります。
法律も含めて、動物を「モノ」扱いする日本では、まだ態勢が整っていません。
動物虐待のルーツは虐待者のDNAが絡むケースもあり、根深いものです。
以前、動物虐待について書く必要があり、資料を調べたことがありますが、
日本語の有益な文献はほとんど見当たりませんでした。
欧米では、犯罪心理学の分野で研究されていますが、日本では、
動物虐待の定義や認識そのものが依然として曖昧で、人材の育成、
データの収集や分析が進んでいません。
(一般向けには、「動物虐待の心理学 フランク・アシオーン著」
などが参考になります)
自分の得意分野から離れて記事を書く際には、
見聞したことを鵜呑みにして受け売りするのではなく、
一通り調べたうえで発信する慎重さと責任も求められると思います。
また、誤解を招かないよう、取り上げ方への配慮も必要でしょう。※というわけで、奄美大島のノネコの問題も、関心はあるのですが、
調べが追い付かず、記事化できないでおります。
ちなみに、引用した文章ですが、「動物虐待者」を「ゴミを集める人」に
言い換えると、ぴったり当てはまります。
↓
「ゴミ屋敷をなくすためには、
ゴミを集める人を責めずに
受け入れ、助ける。
自分が敵(警察などへの通報者・批判者)
ではないことをわかってもらい
料理や、家の掃除などを一緒に行う。
大切なことは、できる範囲で助けること、
自分ひとりで無理せずに、みんなで助ける」
(m)
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テーマ:動物愛護 - ジャンル:ペット
- 2018/04/15(日) 23:30:46|
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