「奄美・沖縄」(鹿児島県・沖縄県)の世界自然遺産登録に
諮問機関から登録の延期が勧告された。
奄美大島固有のアマミノクロウサギを餌食にするとして、
環境省がノネコの捕獲を始めるが、譲渡までの期間が
一週間しかなく、これは形だけ設けたものであり、
事実上の殺処分である。
ノネコの駆除決定は、あまりにも拙速と言わざるを得ない。
自然遺産への登録に向けたアピールであることは明々白々。
奄美大島の希少種を守る決意と努力が本来あったならば、
なぜ今年になって慌てて条例が施行されるまで、不妊去勢の義務化や
マイクロチップ装着など、
飼い主のずさんなネコの飼い方に
具体的な対策を打って来なかったのか。
ノネコという動物種は存在しない。
人間が遺棄したり、未不妊・未去勢で飼っていた猫が繁殖し、
野生化したもので、野生動物ではない。
人間の都合で駆除が必要になると、ノネコと称される。
奄美大島はハブを退治するため、人為的にマングースを放ち、
アマミノクロウサギの最大の脅威となった過去を持つ。
これも、人間の犯した過ち。
メディアでは、アマミノクロウサギをくわえているネコの写真を
よく見かけるが、実はネコがどれくらいクロウサギを
殺しているのか、科学的な根拠は希薄である。
00~17年に確認できたアマミノクロウサギの死骸743体の
大半は死因が不明(環境省調べ)で、交通事故が25,7%、
ネコや犬など、肉食動物に殺されたと断定できたのは、
11,2%に過ぎない。
※肉食動物であって、ネコと特定されたわけではない。
この数字から見れば、交通事故死が死因の最多である。
クロウサギは、その名のとおり黒いので、夜道で車に轢かれやすいのだろう。
ネコの肩を持つわけではなく、クロウサギの保護も進めて
欲しいが、ネコを駆除する前に、先ずは、胃の内容物を検査したり、
ネコにウサギの体毛が付着しているかなども調べ、
科学的なデータの
収集が不可欠ではないだろうか。
科学的に検証し、住民のネコの飼い方を改め、するべき事をして
なおかつ犯人はノネコということならば、安楽殺もやむを得ないと考える。
ただ今回は、自然遺産登録のための駆け込み条例、
駆け込み駆除であり、それは誰の目にも明らかだ。
ノネコを駆除する一方で、奄美大島に5千人規模の大型クルーズ船が
寄港するという計画が進行中である。
奄美の自然を守る会
http://saveamami2018.amamin.jp/かたや希少種保護のためにネコの駆除を謳い、
一方で観光を通して島民の経済生活の潤いを求める。
しかし、中国などからのクルーズ船が現地に利益をもたらすかどうか
は不透明である。
むしろ、自然破壊につながる可能性が大きいのではないか。
ノネコの駆除に反対する方々も、反対の声をあげるだけでなく、
アマミノクロウサギをどのように保護してゆくのか、
代替案を提示することも必要ではないだろうか。
現在は子猫の繁殖シーズンであるから、それらを駆除せず、
保護する方法はないか。
例えば、生存猶予を一年に延ばし、島民に有償で訓化してもらい、
本州に移して里親探しをするなど・・。
鹿児島県だけでなく、クラウドファンディングなどを通して資金を
集めることも一案ではないかと思う。
〈奄美の猫問題を知る・考える〉 日時:平成30年5月29日(火) 18時半~20時
場所:かごしま環境未来館
参加無料・事前申し込み不要
(m)
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テーマ:博物学・自然・生き物 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/05/17(木) 21:34:10|
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