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動物との共生フォーラム

Friends of Nature & Animals Forum

【動物愛護管理法改正に向けて】~日本における動物愛護活動~

「動物取扱業の適正化」に関する環境省パブコメ(意見募集)の
〆切が来週末に迫ってきました。

「ALIVE」、「神奈川県動物愛護協会」「FreePets」「ペット法塾」「犬猫救済の輪」(敬称略)をはじめ、
多くの団体や個人が、ネットを通じてパブリック・コメントを告示し、
市民の参加を呼びかけています。

ところが・・
長年、動愛法改正の牽引役として活動され、今回の法改正にあたっても、
各地でセミナーを開催されてきた「動物との共生を考える連絡会」のHPに告示が見当たりません。
連絡会の主要な構成団体の一つ、「日本動物福祉協会」のHPにも告示がありません。

連絡会の構成団体ではありませんが、
「日本動物愛護協会」のHPにもパブコメの告示は無し。

「日本愛玩動物協会」はチラっとお知らせしています。

これは、日本の「動物愛護活動」を、ある意味、
象徴しているように思えるのですが・・。
昔々、ペット(とくに純血種)を飼うのは贅沢なことで、
裕福な暮らしの証しでもありました。
(今の中国がそうですね)
庶民が飼っていたのは泥棒よけの番犬、大体が雑種で、飼い方の知識もとぼしく、
実験用動物などの取扱いなどもひどく、
外国人からの指摘もあって、日本にも愛護団体が発足しました。
上流階級による「愛護ソサエティー」の形成。
(現在も、皇族が名誉総裁を務めていたり、政財界の重鎮や親族が理事などになっていますね)

この「愛護ソサエティー」と官庁がつながり、「天下り」の受け皿ともなり、
政治家を通して取扱業ともつながって、国の動物行政に関与してきました。
「ソサエティー」+「官」+「業界団体」
そのため、どうしても「上から目線」の対応になり、
情報はなるべく公にせずに、身内での供与にとどめ、
内輪でものごとを進めるという体質が身についているように思います。
こうした結びつき自体、、欧米の動物福祉活動に存在するのでしょうか?

「緊急災害時動物救援本部」の初動や、その後の対応の遅さ、偏りは、
「ソサエティー」+「官」の特徴を露呈しています。

しかし、こうした構図や、周囲の無理解の中、
動物の福祉向上のため、誠心誠意、尽力されてきた方々により、
今日にいたる状況の改善がなされてきました。

n2011050701福島保護犬  原発警戒区域で保護された犬


「ソサエティー」+「官」+「業界団体」からなる「愛護村」は、
有効に機能する側面もありますが、
業界にとって好ましくない一線は越えず、
閉鎖的、内向きなスタンスで、一般市民への積極的なアプローチを避け、
日本の「動物愛護活動」は相変わらず市民世論を形成できていません。
「愛護村」は対極的な活動を助長し、
民間団体の活動は情緒的に先鋭化しがちになり、
彼らからの非難が、「愛護村」のメンバーをますます頑なにさせ、
民間との乖離が拡大します。

「民間団体はピンキリ。群雄割拠の状況」
民主党「犬猫等の殺処分を禁止する議員連盟」の総会で、
日本獣医師会の山根会長が発言されましたが、
今回の法改正でも、愛護団体への規制が検討されています。

今回、「緊急災害時動物救援本部」の対応を見るにつけ、
ペットの数が、15歳未満の子供の数を上まわる今の日本で、
旧態依然とした動物愛護の構図は、もはや時代遅れ、
と感じざるを得ません。

環境省の「動物愛護管理のあり方検討小委員会」において、
「救援本部の構成メンバーは阪神大震災の時から代わっていない。
地域に根っこ(ネットワーク?)もない」と
林委員長が、かなり手厳しく批判されましたが、
未曾有の大災害ということはあるにしても、
本部のスタッフが不眠不休で頑張ってこられたとしても、
そもそもマンパワーが足りず、人材も育っていないということでしょう。

今や高齢になられた活動家の方々を幹部とする団体が、
5年前の法改正時より、はるかに普及、浸透したインターネット
を効果的に利用できているとは言えません。

前回の法改正時、いわゆる「8週齢」規制のパブコメについても、
「反対」 約9500 (業界関係者)
「賛成」 約200
という体たらくでした。
法改正のことすら知らない国民が、圧倒的に多かったのです。

!cid_3D7D9AC0C22C487A8DDDCC060AFD7E7D@YDaishoPC.jpg  ココ

今回の大震災における動物(畜産動物を含む)への対応を通じて、
日本の動物福祉の底の浅さが浮き彫りになりました。
一部の自治体や地域、一部の市民の間での進歩はあっても、
全体として見れば、砂上の楼閣に過ぎなかったのではないか・・。

自戒を込めて言うならば、
犬猫にかかわる人たちはレベルが低い、勉強しないと言われますが、
動物の福祉のために何かできることがあれば協力したいと思っている、
真っ当な市民は大勢いるのです。
その潜在的な協力層を掘り起こすこと。
きっかけがあれば、人は学び始めるものです。
動物については、机上の理論だけでなく、
実際の経験を通して学ぶことの方がはるかに
得るものが大きいのではないかと思います。

今後の動物福祉活動の展開については、
地域、自治体における官民協働がきわめて重要であると考えます。
それは、地域ごとに、共生の根を植えつける作業です。
動物愛護推進員を委嘱している自治体はありますが、
動物にかかわる案件の、行政での優先順位は極めて低く、
愛護推進員であれ、NPO法人であれ、
官民の協働が活発、有効に機能している自治体は、未だわずかです。

法律や行政の施策を下支えする市民世論がなければ、
動物との共生はおぼつきません。
法律の実効性を担保するために、
そして、福島原発エリアのような悲劇を繰り返さないためにも、
行政と市民の協力は不可欠です。

環境省のパブリック・コメントは、今秋にも行われます。
国民に向けて、積極的な告示を、よろしくお願いいたします。

20080901112159.jpg

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(m)
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