動物との共生フォーラム

Friends of Nature & Animals Forum

【2018動物愛護管理法改正】~8週齢をめぐる攻防~

「8週齢問題は議論のテーブルにも上がっていない」
「自民党どうぶつ愛護議連」の事務局長を務める
三原じゅん子参議院議員の発言がネットで物議を醸している。
三原議員の発言の意図は不明だが、
この発言から察するに、安倍政権の下、与党や超党派の
愛護議連の主張など、無きに等しいことがうかがえる。
8週齢規制に自民党の一部議員が反対していることからも、
政策は現与党において影響力を持つ議員たちによって
決められているのである。


ペットショップ
若い人たちで賑わうペットショップ

前回の法改正時に比べ、今回の改正は甚だ盛り上がりに欠ける。
本当に今年が改正年なのかと疑いたくなるほどである。
いや、もしかすると、前回13年の法改正前の動きが盛り上がり
すぎたのかもしれない。
民主党政権下、環境省では検討小委員会が設置され、
1年半ほどをかけ、委員会が25回も開催されている。
傍聴を申し込んでも、なかなか当選しないほどの盛況ぶりで、
ペットの小売り、競り市、火葬などの業者からのヒアリングや
実験動物、畜産動物、動物園に至るまで、幅広く議論が行われた。
環境省によるパブコメには、ネットを中心に、かつてないほどの
数の意見が寄せられた。
動物取扱業への批判が一気に高まったと言っても過言ではない。

8週齢規制の実現はならなかったが、業界は警戒感を強め、
前回の法改正後、業界を横断する組織を結成した。
企業・業界寄りの安倍政権への働きかけを強めたことは
想像に難くない。

自民党の目下の関心事は、「マイクロチップの義務化」。
おそらく、5年後ぐらいを目途に、体制を整える心積もりだろう。
これまでの安倍政権の流れからすると、
加計学園問題を批判していた獣医師会へのお詫びの印では
ないかと勘繰りたくもなる。
「マイクロチップ義務化」は獣医師会の宿願であり、
義務化が現行の高額な料金(5千円ほど)で実施されれば、
利益誘導と言われても、それは仕方がないだろう。
3月に開かれた環境省中央審議会動物愛護部会の会議でも、
獣医師の委員が義務化の必要性を強く唱えている。
マイクロチップの義務化については、
飼い主や動物愛護に携わっている人々の間でも賛否両論がある。

話を8週齢にもどすと、「週刊朝日」(6/8号)に、業界団体が
自らに有利になるようアンケート結果を差し替えたという
記事が掲載された。
環境省の役人が差し替えを容認したとしたら大きな問題だが、
3月の愛護部会の議事録を読むかぎり、
このアンケート結果はあまり委員から信用されていないようだ。
「週刊朝日」には、
「週齢だけでなく環境や状況も含めた議論がまさに必要
だということを、この結果から思いました」
という、ある委員の発言が紹介されているが、
この発言は、アンケートを評価したというわけではなく、
週齢のみならず、飼育環境なども含めて総合的に判断する
必要があるという意味に受け取れた。

動物愛護の側は、今回の改正において、8週齢規制、
各種数値規制、動物繁殖業の免許制の3点を
重点項目として掲げているが、
現状、どれも実現しない可能性は高そうだ。
ならば、どれか一点でも実現させる方向へと
戦術を変えて交渉することも必要ではないか。
どれか一点とするならば、
「飼養施設などの数値規制」に絞りたい。
8週齢規制に賛同はするが、周囲を見まわすと、
一般の飼い主に、その必要性が今一つ理解されていない
ように見受けられる。
比べて、数値規制は、パピーミルなどの劣悪な飼育状態
が報道されるにつけ、非難や、改善を求める声は、
ペットを飼育していない人々からも挙がっている。
これまで行政が、そうした劣悪業者を指導できない
理由として、数値規制が無いことが理由(場合によっては、
口実)となってきた。
劣悪なブリーダーによる飼育は動物虐待であり、いま
苦しんでいる繁殖犬猫に救いの手を差し伸べるためにも
喫緊に必要な規制と思われる。

が、しかし、数値規制こそ、ブリーダーがもっとも嫌がる
規制であることも事実である。
現に、2年ほど前から、環境省も、数値規制に向けて調査
を行っているが、一向に進展が見られない気配である。

動物取扱業は、国民世論を鑑み、ブリーダーの飼養状況について、
真剣に向き合うべきではないだろうか。
また、8週齢規制に反対している議員は氏名を明らかにすべき
である。
有権者として、次の選挙の投票先を判断するためにも知る
権利があると思う。

(m)




#8週齢 #動物愛護管理法改正 #数値制限 #ブリーダー #劣悪飼育 
#環境省
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テーマ:動物愛護 - ジャンル:ペット

  1. 2018/06/04(月) 18:49:54|
  2. 動物愛護管理法
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アマミノクロウサギ保護~科学的根拠の薄いノネコ駆除~

「奄美・沖縄」(鹿児島県・沖縄県)の世界自然遺産登録に
諮問機関から登録の延期が勧告された。

奄美大島固有のアマミノクロウサギを餌食にするとして、
環境省がノネコの捕獲を始めるが、譲渡までの期間が
一週間しかなく、これは形だけ設けたものであり、
事実上の殺処分である。

ノネコの駆除決定は、あまりにも拙速と言わざるを得ない。
自然遺産への登録に向けたアピールであることは明々白々。

奄美大島の希少種を守る決意と努力が本来あったならば、
なぜ今年になって慌てて条例が施行されるまで、不妊去勢の義務化や
マイクロチップ装着など、飼い主のずさんなネコの飼い方に
具体的な対策を打って来なかったのか。


ノネコという動物種は存在しない。
人間が遺棄したり、未不妊・未去勢で飼っていた猫が繁殖し、
野生化したもので、野生動物ではない。
人間の都合で駆除が必要になると、ノネコと称される。

奄美大島はハブを退治するため、人為的にマングースを放ち、
アマミノクロウサギの最大の脅威となった過去を持つ。
これも、人間の犯した過ち。

メディアでは、アマミノクロウサギをくわえているネコの写真を
よく見かけるが、実はネコがどれくらいクロウサギを
殺しているのか、科学的な根拠は希薄である。

00~17年に確認できたアマミノクロウサギの死骸743体の
大半は死因が不明(環境省調べ)で、交通事故が25,7%、
ネコや犬など、肉食動物に殺されたと断定できたのは、
11,2%に過ぎない。
※肉食動物であって、ネコと特定されたわけではない。

この数字から見れば、交通事故死が死因の最多である。
クロウサギは、その名のとおり黒いので、夜道で車に轢かれやすいのだろう。

ネコの肩を持つわけではなく、クロウサギの保護も進めて
欲しいが、ネコを駆除する前に、先ずは、胃の内容物を検査したり、
ネコにウサギの体毛が付着しているかなども調べ、科学的なデータの
収集が不可欠ではないだろうか。

科学的に検証し、住民のネコの飼い方を改め、するべき事をして
なおかつ犯人はノネコということならば、安楽殺もやむを得ないと考える。

ただ今回は、自然遺産登録のための駆け込み条例、
駆け込み駆除であり、それは誰の目にも明らかだ。

ノネコを駆除する一方で、奄美大島に5千人規模の大型クルーズ船が
寄港するという計画が進行中である。

奄美の自然を守る会
http://saveamami2018.amamin.jp/

かたや希少種保護のためにネコの駆除を謳い、
一方で観光を通して島民の経済生活の潤いを求める。

しかし、中国などからのクルーズ船が現地に利益をもたらすかどうか
は不透明である。
むしろ、自然破壊につながる可能性が大きいのではないか。

ノネコの駆除に反対する方々も、反対の声をあげるだけでなく、
アマミノクロウサギをどのように保護してゆくのか、
代替案を提示することも必要ではないだろうか。

現在は子猫の繁殖シーズンであるから、それらを駆除せず、
保護する方法はないか。
例えば、生存猶予を一年に延ばし、島民に有償で訓化してもらい、
本州に移して里親探しをするなど・・。
鹿児島県だけでなく、クラウドファンディングなどを通して資金を
集めることも一案ではないかと思う。


〈奄美の猫問題を知る・考える〉
日時:平成30年5月29日(火) 18時半~20時
場所:かごしま環境未来館
参加無料・事前申し込み不要


(m)




#アマミノクロウサギ #奄美大島 #世界自然遺産 #希少種 #ノネコ #駆除 
#鹿児島県 #科学的根拠
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テーマ:博物学・自然・生き物 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2018/05/17(木) 21:34:10|
  2. 野生動物 その他
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シンポジウム「四国のクマ・絶滅へのカウントダウンを止めるために」

日本クマネットワーク主催の
シンポジウムが開催されます。

四国クマ

(以下、HPより転載)

 「四国のクマ・絶滅へのカウントダウンを止めるために」 

 四国に残存するツキノワグマ集団は,本州の状況と異なり,
極めて危機的な状況にあることが分かっています。
このままでは,九州に続き四国からもクマが姿を消す日は
遠くないことが懸念されます。
JBNではそのより詳細な実態把握のための調査を,
四国自然史科学研究センターおよびNACSーJと協働で開始しました。
一方で,四国のクマを絶滅させずに回復させるための具体的方策
についても,並行して検討していくことが緊急の課題としてあげられます。
このシンポジウムでは,同様に絶滅のおそれのある個体群を抱える,
韓国および台湾での保全のための国家的取り組みを紹介しながら,
今後の四国の保全の方向性について議論いたします。

開催日時:2018年5月27日(日)10:00-17:00 参加費無料

開催場所:東京農業大学アカデミアセンターB1F 横井講堂
       (世田谷キャンパス)

主催:日本クマネットワーク(JBN)

共催: 認定特定非営利活動法人四国自然史科学研究センター、
公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)
東京農業大学

後援(予定含む):高知市立わんぱーくこうちアニマルランド,
(公財)愛媛県動物園協会
とくしま動物園北島建設の森,高知県のいち動物公園協会,
四国森林管理局
環境省中国四国地方環境事務所,高知県,徳島県,日本哺乳類学会
日本野生動物医学会

当日のプログラム(10:00 開始)

開会あいさつ
大井徹(JBN代表)

はじめに
四国のクマの置かれている現状
(四国自然史科学研究センター山田孝樹)

第一部保全のための具体的な取り組み10:30~12:10

1. 韓国の絶滅危惧種であるツキノワグマのための保全の取り組み
“Conservation efforts for endangered Asiatic black bears in South Korea“
(逐次通訳)
(韓国国立公園公団Jeong Dong-Hyuk)

2. 生息環境の質の向上としての給餌を考える
(東京農業大学山﨑晃司)

3. 生息域外保全と補強による四国のツキノワグマの保全は可能か?
(国立環境研究所大沼学)

(休憩12:10~13:10)

第二部保全のための地域との合意形成13:10~15:30

1. 四国のツキノワグマ保全にむけたJBNの取り組み―不安や負担だけを押しつけないために―
(酪農学園大学佐藤喜和)

2. 絶滅危惧種タイワングマ保全のためのアウトリーチおよび教育プログラム
“Outreach and education programs for conserving endangered Taiwan Black
Bears”(逐次通訳)
(台湾国立屏東科技大学Hwang Mei-Hsiu)

3. コウノトリの野生復帰と地域社会
(兵庫県立大学山室敦嗣)

4. 四国での地域への普及啓発の方向性
(NPO birth 亀山明子)

第三部総合討論15:40~17:00

これから四国で検討されるべき保全のアクション
(コーディネーター大井徹・JBN代表)


(17:00 終了)

※このシンポジウムは、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の
 助成を受けて開催します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

#日本クマネットワーク #四国 # ツキノワグマ #絶滅 #シンポジウム 
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テーマ:博物学・自然・生き物 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2018/05/16(水) 21:39:10|
  2. 野生動物 クマ
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殺処分ゼロの定義~譲渡困難な犬猫に関する疑義~

殺処分ゼロ」、定義明確に=譲渡困難な犬猫除外
―環境省

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180
503-00000013-jij-pol


殺処分の定義が全国の自治体でばらばらでは困る
というのは理解できますが、
2018年の動物愛護管理法改正の指針に盛り込まれる予定である
「殺処分頭数から譲渡困難な犬猫を除外する」ことについては
(環境省・動物愛護部会の議事録にも記載されています)
多くの疑問を感じます。

・先ず、譲渡困難かどうかを、誰が判定するのか?
・判定まで、どれくらいの日数が設けられるのか?
※収容動物の多くは脅えており、その個体本来の性格を
掴むには時間がかかるのでは?
:老齢犬猫は何歳からとするのか?老犬、老猫は判定落ち?
※個体差があり、老齢であっても、人に馴れ、健康な犬猫はいる。
・野犬はすべてアウトか?
※順化が可能な個体もいる。
・授乳が必要な子猫については?

傷病の犬猫についても、収容後に治療の甲斐なく死亡した場合や、
苦痛からの解放のため、やむなく安楽死させることは理解できますが、

・感染症はどのように判定されるのか?
例えば、ネコ風邪はアウトか?感染する皮膚病については?
感染症のキャリアについては?
※傷病の犬猫でも引き取って世話をしたいという人はいる。

収容スペースが無いために、譲渡に適した犬猫を
優先収容したいという考えも理解できますが、
「殺処分ゼロ」を数字だけ達成させるために定義づけするのは
多いに疑問です。
譲渡困難=里親希望者が少ない、ということだけで判断されかねません。
また、定義づけにあたっては、具体的かつ詳細なガイドラインが
必要だと思います。

以下は、東京都の定義(ご参考までに)
(カウントされない殺処分)

(6) 殺処分
・以下の場合は譲渡対象とはせず、動物福祉の観点から殺処分することがあります。
・飼養管理が困難な生後間もない子犬や子猫
・治療が困難な著しい苦痛を伴った負傷動物
・著しい攻撃性等、問題行動を持ち矯正が困難な動物
・飼育管理が困難な高齢動物

これでもまだ不十分だと思いますが、東京都には野犬はほぼおらず、
最近は雑種犬も見かけることが少なく、
殺処分の大半は生後まもない子猫で(処分数は激減)
50を超える保護団体が引き取りをしています。
ただ今後、高齢者の飼育放棄や多頭飼育崩壊の増加を考えると、
現今の団体頼みのシステムでは厳しくなるでしょう。

殺処分の定義は、法改正の指針に盛り込まれるとのことなので、
センターや保健所と関わっている団体や個人ボランティアは
意見表明をされた方が良いと思います。

以下、殺処分の定義に関して、西山ゆう子獣医師がFBで
的確に指摘されていますので、ご参考までに。

https://www.facebook.com/dryukonishiyama?fref=pb&hc_location=friends_tab


(m)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年はGWに、マイクロチップの義務化法案やら、殺処分の定義やら、
重要なニュースが次々と報道されました。
この記事を書こうとしていたところ、中国へ行ったパンダのニュースを
見て、そちらを優先したため、投稿が遅くなりました。

今回の動物愛護管理法改正は、多くの面で残念な結果になりそうです。







#殺処分 #定義 #環境省 #譲渡困難 #犬猫
関連記事

テーマ:動物愛護 - ジャンル:ペット

  1. 2018/05/10(木) 17:06:04|
  2. 動物行政
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